インタビュー

アルコール依存を克服、鬱(うつ)も
「音楽創造の平均値は上がった」
ロックバンド「ZIGGY」森重樹一氏

活動を再開したZIGGYの森重樹一氏

 ◇救急隊が駆け付ける

 ライブ後は寝汗がひどく、ホテルのベッドシーツを7回替えてもらったほど。「この夜は下着もなくなり、コインランドリーで洗濯をしながらぼうぜんと時を過ごした」

 この頃になると森重氏は、所属事務所社長の勧めもあって医師の治療を受け、断酒の自助グループに通い始めていた。自助グループは、依存症に苦しむ人や苦しんだ経験を持つ人が集まり、「酒浸り」の日々に戻らないため過去や現況を語り合う組織だが、森重氏に本当の転機が訪れたのは09年6月19日、45歳の時だった。

 抗アルコール剤を服用後に飲酒して2時間半の間激しく嘔吐(おうと)し、救急隊が駆け付けた。「血圧は上が60~70。酒を飲んでいた二十数年の中で最悪の状態になった。それ以来、飲んでいない」

 自助グループの会合に毎日のように参加するようになり、「顔見知りがいっぱいできて助けられた。居心地も良くなっていった」といい、依存症からの回復にはこうしたグループの支援が欠かせないと力説する。

 ◇新曲、全国ツアー

活動を再開したZIGGYの森重樹一氏

 かつてのメンバーは森重氏1人とはいえ、ZIGGYとして17年に新曲を出し、全国ツアーも開始した。森重氏は「創作とか音楽編さんのアベレージは確実に上がった」と語る。また、「スティーブン・タイラー、エリック・クラプトン、リンゴ・スターという僕のヒーローがドラックやアルコールを断った経緯がモチベーションになっている」と話す。

 「彼らの作品はクリーンな状態(断酒した状態)の時のほうが、絶対に過去よりもいい。彼らにミュージシャンとして啓発されたし、救いを与えられた」「しかるべき医師の治療を受ければ、お酒を飲んでいた時以上の人生があると、先輩が見せてくれているし、僕も体現したい」

 これが、アルコール依存症からの回復を目指す人たちに向けた森重氏の訴えだ。(解説委員・舟橋良治)

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