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自律神経の調節の乱れによって、思春期の子どもを中心に発症する「起立性調節障害(OD)」。頭痛やめまいがして、朝なかなか起きられず、遅刻や欠席を繰り返すことから、周囲に「怠けている」と誤解されやすい。西部総合病院(さいたま市)小児科の数間紀夫部長は「朝起きられないのは本人の気持ちの問題などではなく、『体の病気』が原因であることを理解する必要があります」と話す。
起立性調節障害(OD)のチェックポイント
▽不登校につながることも
ODは小学校の高学年から中高生に多く見られる病気だ。この時期は心身ともに子どもから大人への急激な変化が起こるため、自律神経のバランスが崩れやすい。全身の血液の動きを調節する自律神経に問題が起きると、起立していることによって心臓より上部では血液が不足し、下部では血液がたまってしまい、さまざまな症状が出現する。数間部長は「ODになると、脳や心臓への血流が低下し、頭痛、めまい、立ちくらみ、動悸(どうき)、失神、頻脈、倦怠(けんたい)感などの症状が表れます」と解説する。
症状は午前中に強く、午後には軽減する傾向があり、子どもは夕方から夜にかけては活動的になる。そのため「親は子どもが元気になる姿を見て、怠けているとか、夜更かしが原因だと考えがちです。そうした周囲の無理解が精神的ストレスとなり、症状が悪化することもあります」と数間部長。重症化すると、不登校や引きこもりにつながることもあるため注意が必要だ。
▽まず生活リズムを整える
小児科以外で診断することは難しく、うつ病と誤診される例も多い。日本小児心身医学会によるODの診断基準が一般向けのチェックポイントとしても有用であり、三つ以上の症状に当てはまる場合、ODの可能性を考える。正式には横になった状態から立ち上がった際の血圧や脈拍数の変化を調べて診断する。
治療は、病気への理解を深めることや、日常生活での注意点などを指導する非薬物療法が基本となる。数間部長は「患者さんは夜型の生活になりやすいため、生活リズムを整えることがポイントです。散歩程度の軽い運動や、血圧を上げるために水分補給することも大切です」と話す。昇圧剤を使用したり、心理療法を行ったりすることもある。ほとんどの患者では、これらの治療と成長に伴って症状は軽減する。
ODになると遅刻や欠席が多くなるのが大きな悩みだが、数間部長は「ODは身体疾患なので、無理に登校させるのではなく、体調を整えることを優先してほしい」と強調する。病気に対する学校側の理解と協力も重要な課題だ。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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