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神奈川県立こども医療センターの皮膚科には、主に0~6歳の子どもたちが親に連れられてやって来る。アトピー性皮膚炎や母斑(黒・茶・青・白あざ)、血管腫(赤あざ)といった先天的なものに加え、細菌やウイルスによる皮膚感染症が多いという。これからの季節で特に注意が必要な皮膚感染症は何か。同センターの馬場直子皮膚科部長は「まず『とびひ』に『水いぼ』、それに『手足口病』でしょう」と話す。
とびひの症状
◇毒素が皮膚結合を破壊
とびひは、伝染性膿痂疹(のうかしん)が正式な名称だ。馬場部長によれば、夏の小児では水疱(すいほう)、つまり水ぶくれをつくるタイプがほとんどで、皮膚の表面によくいる黄色ブドウ球菌が引き起こす。「黄色ブドウ球菌は、通常は石垣のように離れない皮膚の表皮細胞の結合を剥がすような毒素を出すため、容易に表皮間の結合が取れてしまい、水疱ができるのです」と解説する。
「水疱をかいた手で、体の別の部分に触るとすぐに感染する。その速さがまるで火事の『飛び火』のようだから、この俗称が付いたのでしょう」
馬場直子皮膚科部長
◇アトピーで皮膚バリアー低下
とびひは、虫に刺された時の薬など家庭の常備薬では治せない。「ステロイド剤も市販されていたり、アトピーの患者が持っていたりすることはある。でも、とびひに対しては効果はないです」。アトピーの治療でステロイド剤を塗布している子どもがとびひになるケースも多い。「アトピーで皮膚のバリアー機能が低下しているため、とびひにかかりやすいし、症状が広がりやすいのです」
馬場部長はアトピーの子どもがとびひになった場合の治療について「もともとのアトピーのある部分には、ステロイド剤を塗り、とびひ治療としては抗生剤をのむ。二つの薬剤を併用しても問題はありません」と話す。
◇かいて自ら増やす
水いぼ(伝染性軟属腫)は、1~2ミリの小さないぼが体にできる感染症だ。ウイルスによって小さな子どもを中心に人から人へとうつる。「1年中、患者が出ますが、肌をさらす季節になると目立つし、プールが始まるとうつりやすくなります」。もっとも、多くの場合は2~3年程度で自然治癒し、「多くの成人が子どもの頃に経験しているはずだ」と馬場部長は言う。
(2019/06/02 07:00)
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