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主に食肉を介して感染し、下痢や腹痛を引き起こすカンピロバクター食中毒。近年、発生件数が増加しており、食中毒の発生件数でトップのノロウイルスに匹敵する多さだという。東京都健康安全研究センター(東京都新宿区)食品微生物研究科の赤瀬悟主任研究員に、カンピロバクター食中毒の原因や予防法などを聞いた。
▽集団食中毒も発生
カンピロバクターは、鶏や牛、豚など家畜の腸管内に生息する細菌だ。食べ物を介して人間の体内に入ると、発熱や下痢、腹痛といった胃腸炎症状、さらには倦怠(けんたい)感、頭痛、めまいなどを引き起こす。食後1~7日(平均2~3日)と潜伏期間が長いため、カンピロバクターが原因の食中毒は感染源の特定が難しい。
カンピロバクターによる食中毒の予防のポイント
赤瀬氏によれば、国内で発生件数が増加したのは1998年ごろから。2016年には東京と福岡で行われた野外イベント「肉フェス」で、半生の鶏ささみを使ったすしによるカンピロバクター集団食中毒(患者数875人)も発生している。
赤瀬氏は「生肉や半生状態で鶏肉料理を食べる機会が増え、それに伴いカンピロバクター食中毒がたびたび起きてきました。死亡リスクのある腸管出血性大腸菌やE型肝炎ウイルスなどによる食中毒予防の観点から、牛レバーや豚肉の生食提供が法律で禁止されました。一方、現状では法規制されていない鶏肉の生食が全国的に広まったことが、カンピロバクター食中毒が増加した一因です」と分析する。
▽予防法は「中心部まで火を通す」
鶏肉はカンピロバクター保菌率が約50%と高いため、感染源になりやすい。食肉加工の過程で、傷つけられた鶏の胃腸から漏れ出した菌が食肉部位を汚染するという。さらに、カンピロバクターは少量でも発症するため、まな板など調理器具を介して菌が他の食材に付着する二次汚染にも注意を払わねばならない。
とはいえ、赤瀬氏は「カンピロバクターは食中毒の中でも予防が容易だ」と指摘する。十分な加熱さえすれば簡単に防げるからだ。
赤瀬氏は「鶏肉の湯引きやレア焼きのように表面だけ熱を加える調理法では、肉の中にまで入り込んだ菌を死滅させることができません。大切なのは、肉の中心部にまでしっかり火を通すことです。まな板などは熱湯で消毒した上で、よく乾燥させましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/06/22 10:00)
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