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胸の痛みに突然襲われて息苦しさを感じた場合、狭心症、心筋梗塞などの心臓の病が真っ先に頭に浮かぶ。しかし、長身、やせ型の若い男性の場合は「自然気胸」という肺の病気の可能性もある。急に背が伸びた男子中高生などは、注意しておきたい病気である。
▽症状は胸痛や息苦しさ
順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)呼吸器内科の瀬山邦明准教授によると、気胸とは、肺の表面を包む膜に何らかの原因で穴が開き、空気が肺の外側(胸膜腔)に漏れ出て、たまった状態をいう。空気が漏れると肺がしぼむため、胸の痛みや息苦しさを感じる。胸痛は、肩に近い肺の上部で起こることが多い。息苦しさは安静にしていると軽くなる。
穴が開く原因について、瀬山准教授は「気胸は、胸部の外傷や肺がんなど肺の病気によって生じる例もありますが、ほとんどは肺の表面近くの組織が壊れて部分的に膨らんだブラまたはブレブと呼ばれる袋が破裂することで起こります」と説明する。
体の成長が著しくなる12歳ごろから、ブラの数が増え、サイズも大きくなる。20歳前後で身長が高くやせ型の男性は、体の成長に肺の発育が追い付かず、ブラの発生、増大、破裂が生じやすくなると推測されている。圧倒的に男性に多いという。
▽3~4割は再発
自然気胸は、気圧や気候の変化、疲労、精神的・肉体的ストレス、睡眠不足などが誘因となって発症する。心身に大きな負担がかかる入学試験や学期末試験などの時期は、特に気を付けたい。瀬山准教授は「再発を防ぐにはストレスをためないようにすることも大切です」とアドバイスする。
軽度の場合、安静にして経過を観察するが、中等度以上では胸に開けた小さな穴から管を入れ、たまった空気を抜く「胸腔ドレナージ」という治療を行う。原則入院が必要だが、気胸の診療経験が豊富な施設では外来通院でのドレナージが増えつつある。
しかし、「胸腔ドレナージを行ってから1週間たっても空気漏れが止まらない、胸腔ドレナージで漏れが止まった後に再発するという場合には、ブラを切り取って穴を縫合する胸腔鏡手術で肺にできた穴をふさぎます」と瀬山准教授。胸腔ドレナージのみでは再発が3~4割で見られるため、最初から胸腔鏡手術を勧める医師もいる。
空気漏れが止まり、肺が元の大きさに戻れば通常の生活に戻れる。肺に水圧がかかるダイビング以外ならスポーツを楽しんだり、飛行機に乗ったりすることもできる。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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