2024/12/06 17:18
キャラクター活用による病院内での心地よい空間づくりの取り組み
横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学の涌井広道講師、山地孝拡医師(医学研究科大学院生)、小豆島健護博士(日本学術振興会海外特別研究員)、畝田一司客員研究員、田村功一主任教授らの研究グループは,株式会社ツムラとの産学連携研究において、慢性腎臓病モデルマウスを用いて、漢方薬「六君子湯(りっくんしとう)」が胃でのグレリン産生、腎臓でのグレリン受容体の発現増加、Sirtuin1活性化などの多面的な作用により、慢性腎臓病克服の鍵となる体重減少の改善効果をもたらすことを発見しました(図1)。
研究の背景
慢性腎臓病(chronic kidney disease: 以下、CKD)の患者数は年々増加しており、日本人のCKD患者数は約1330万人と推計され、成人の約8人に1人はCKDであると言われています(日本腎臓学会『診療ガイドライン2018』)。CKDでは、尿毒素 の蓄積、代謝亢進、炎症、酸化ストレスなど複数の要因が関与して、エネルギー源(体脂肪)が減少する消耗状態であることが知られています。実際に、末期腎不全により透析療法を施行している患者では、BMI(肥満度を表す体格数)が高いほうが生命予後良好であり、この現象は「肥満パラドックス」と呼ばれています。
さらに、近年、保存期(透析未導入)のCKD患者さんにおいても低BMIが生命予後不良と関連していることが報告され注目されています(Kikuchi H, et al. PLoS One 2018; 13(11):e0208258)。また、CKDでは尿毒素の蓄積や炎症の亢進状態に加え、患者の高齢化も相まって体蛋白(骨格筋)が減少するサルコペニア*1を来たしやすいことが知られ、逆に運動療法などによる適切な筋力の維持は腎臓の炎症を抑制し、腎保護作用を発揮する可能性があります(筋腎連関)。
そのため、CKD患者さんでは生命予後改善のために十分なカロリー摂取と筋力・体重維持が重要であり、課題とされます(サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言、日腎会誌 2019)。
一方、漢方薬「六君子湯」は、消化・栄養吸収系の異常に対して使用されてきた歴史的経緯を有し、その機序として食欲増進ホルモンであるグレリン分泌促進作用が示されています。さらに、近年、グレリン受容体は視床下部のみならず、腎臓などの末梢臓器にも発現し、グレリン投与は腎臓局所での炎症を抑制することが報告されています。
したがって、六君子湯は、栄養障害の改善・抗炎症作用を発揮して、CKDにおける有用な治療手段となる可能性があります。しかしながら、六君子湯が、CKD病態下において実際にどのような効果をもたらすかはよく分かっていませんでした。
(2020/02/06 11:09)
2024/12/06 17:18
キャラクター活用による病院内での心地よい空間づくりの取り組み
2024/11/05 16:00
オイシックス・ラ・大地、東京慈恵医科大と共同臨床研究を開始
がん治療の化学療法時における、食事支援サービスの効果を研究
2024/10/29 12:34
世界初、切除不能膵癌に対する
Wilms腫瘍(WT1)樹状細胞ワクチンを併用した化学療法を考案・実施