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全身の血管に炎症が起こり、心臓に酸素や栄養を送る動脈である冠動脈にこぶ(冠動脈瘤=りゅう)ができる川崎病。冠動脈瘤が形成されると心筋梗塞を起こす危険性が高まるため、早期診断・治療が重要だ。
川崎病の特徴的な症状
▽発見から約50年も原因不明
川崎病は、1967年に川崎富作医師が報告した乳幼児の病気だ。東アジアに多く見られ、日本では患者数が増えており、年に約1万5000人が新たに発症する。
東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)小児科の高月晋一准教授は「過剰な免疫反応により全身の動脈に炎症が生じます。原因は分かっていませんが、何らかの感染症が関与しており、遺伝的に罹患(りかん)、重症化しやすい人がいる可能性が考えられます」と説明する。
主な症状は、〔1〕38度以上の高熱〔2〕両目の充血〔3〕唇が真っ赤になり、舌がいちごのようにブツブツになる〔4〕体全体に発疹が表れる(乳幼児ではBCG接種した部位が赤く腫れる)〔5〕手足の腫れ、手のひらや足底が赤くなる、解熱後に手足の指先の皮膚がむける〔6〕首の片方のリンパ節が腫れる―の六つで、このうち五つを満たす、または四つを満たし、さらに冠動脈の病変が認められた場合に川崎病と診断される。
▽冠動脈瘤を予防
根本的な治療法はなく、症状を軽くし、冠動脈瘤ができるのを防ぐための治療が行われる。第一選択薬として、炎症を抑える血液製剤(ガンマグロブリン)の点滴とアスピリンの内服が行われる。約80%の患者に有効だという。効果が得られない可能性のある重症例にはステロイドが併用される。
「初期の治療に反応しなかった患者には、ガンマグロブリンの再投与、ステロイドを短期間に大量投与するステロイドパルス療法、免疫抑制剤のシクロスポリン、インフリキシマブ、血漿(けっしょう)交換療法などから、患者に合った治療法が選択されます」と高月准教授。
冠動脈瘤ができると血管が狭まり、また血栓の形成で血管が詰まり、狭心症や心筋梗塞が起こりやすくなる。そのため、アスピリンやワーファリンなどの抗血栓療法を併用して治療を行う。高月准教授は「心筋梗塞を発症した場合には血行再建術が必要です。カテーテルを用いる治療と外科手術があります」と話す。
発熱が見られる小児の病気は多いが、高月准教授は「乳幼児が突然高熱を出し、発疹や目の充血、BCGを接種した部位が赤くなるなどの症状があったら、川崎病の可能性も疑って速やかに受診してほしい」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/08/15 07:00)
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