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自己免疫性肝炎は50代以降の女性に多い難病で、自覚症状に乏しく、多くが慢性的に進行するため、健康診断で偶然発見されるケースが大半だ。治療の遅れから、急性肝不全などの重篤な状態に至ることもある。国際医療福祉大学成田病院(千葉県成田市)消化器内科部長の海老沼浩利医師は「自己免疫性肝炎は良くなっても再び悪化しやすいので、治療後も定期的な受診が必要です」と話す。
定期的な通院と服薬はしっかり守って
▽検査で偶然発見
白血球の成分であるリンパ球は、自分の細胞とそれ以外を区別し、ウイルスなどの病原体が体内に侵入すると攻撃して排除する。自己免疫性肝炎は、何らかの原因でこの機能が破綻し、攻撃対象ではない自分の肝細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つだ。
他の自己免疫疾患との関連も深く、海老沼医師は「特に関節リウマチやシェーグレン症候群、甲状腺疾患に合併しやすく、これらの検査で偶然見つかることがたびたびあります」と説明する。原発性胆汁性胆管炎(PBC)や原発性硬化性胆管炎(PSC)といった、他の自己免疫性肝疾患を合併することもあるという。
明確な原因は分かっていない。ウイルス感染や抗菌薬、降圧薬の服用後に発症するケースがあり、それらが引き金になる可能性も考えられている。
▽定期的な通院と服薬を
診断にはまず血液検査を行う。免疫グロブリンというタンパク質の数値が高値を示し、自己抗体である抗核抗体が陽性になるのが特徴だ。他の肝臓疾患がないかを調べ、最終的には肝臓の組織を採取する肝生検で確定診断する。
肝生検が必要な理由について海老沼医師は、この病気とは生涯付き合っていかなければならず、治療にステロイドを使うことを挙げる。「ステロイドは骨がもろくなる、感染症にかかりやすくなる、糖尿病が悪化するなどの副作用があるので、根拠を持った処方をするために肝生検は必要です」
ステロイドは自己免疫性肝炎には極めて有効だが、海老沼医師は自己判断でやめてしまう患者がいると警鐘を鳴らす。「中止すると再燃することが多く、これを繰り返すと進行が早まります。肝臓の数値が改善しても、定期的な通院と服薬は必ず守ってください」と強く呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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