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アタマジラミはヒトにのみ寄生する3種類のシラミ(他にケジラミ、コロモジラミ)の一種で、頭髪に寄生する。保育園や小学校などで集団発生することが多く、近年徐々に増えている。その背景や早期発見のポイント、治療法について、国立感染症研究所(東京都新宿区)昆虫医科学部の葛西真治部長に聞いた。
アタマジラミの感染経路と感染予防策
▽感染者への接触で感染
アタマジラミは、メスがヒトの頭に卵を産み付けて増え、ヒトからヒトにうつって広がる。寄生初期には自覚症状がないことが多いが、幼虫や成虫が増えると、アタマジラミは1日数回血を吸うため頭皮にかゆみを起こす。かきむしってできた傷から別の感染症(二次感染)にかかる恐れがあるため、注意が必要だ。
感染経路で最も多いのは頭と頭の接触だ。「幼稚園や保育園で子ども同士が体を寄せ合って遊んだり、昼寝の時に髪の毛が接触したりして感染することがあります」と葛西部長。寝具やタオル、ブラシの共用でうつることもある。以前はプールの水を介して感染するといわれていたが、現在は否定されている。
感染者が増えている理由について葛西部長は、〔1〕共働き世帯が増え、子どもの洗髪や髪の手入れに割く時間が減った〔2〕スポーツなどでヘルメットやタオルの共用機会が増えた〔3〕アタマジラミを知らない世代が増え、気付きにくくなった―などを挙げる。
▽駆除薬、くしで除去
治療には、薬局で手に入る殺虫成分フェノトリンを主成分とする駆除用シャンプーかパウダーを使う。「駆除用シャンプーで髪を洗い、目の細かい梳(す)きぐしで丁寧に成虫と卵を梳いて取り除きます。ただし、卵には効果が乏しいため、3日に1度、3~4回繰り返して卵がふ化した後の幼虫を除去することが重要です」
感染者が使用した衣類、シーツ、枕カバーなどは乾燥機の熱風や55度以上の湯に5分間さらすと成虫、卵ともに死滅する。洗濯して乾燥機にかけるか、1週間使用せずに置いておくとよい。
近年、フェノトリンが効かない抵抗性シラミが沖縄県を中心に発生しているが、抵抗性シラミへの駆除薬が2018年に発売され、使用可能になった。
「アタマジラミは清潔にしていてもうつるため、定期的に子どもの後頭部や耳の後ろの髪の生え際を確認して卵を探しましょう。学校を休む必要はありませんが、不潔な病気だと勘違いされ、集団感染があると犯人捜しに発展し、いじめの原因になることもあります。保護者や学校関係者が正しい知識を持つことが大切です」と葛西氏はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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