医学生のフィールド

「inochi未来・WAKAZO適塾」特別会開催
世代や業種を超えて意見を交わし合う

 8月から始まったオンラインゼミ「inochi未来・WAKAZO適塾」は、第1回から第4回まで「データ駆動型社会」を共通のキーワードとして、各界のトップランナーと議論を深めてきた。

 総集編も兼ねた特別会が11月13日、講演とグループディスカッションの2部構成で行われた。COVID-19で心身の健康を保ちながら経済社会活動を続けることが難しいとわかった今、若者たちはどのような「inochiを守る未来社会」を提案できるのか意見を交わした。文:田中智也(大阪大学医学部医学科1年)

西田一晃さん

 第1部では、inochi WAKAZOプロジェクトの運営メンバーである近畿大学医学部6年西田一晃氏が、「若者が提案する、inochiを守る未来社会とは」をテーマに講演した。ヘルスケアサービスは有識者や政治家から提供されるという考えが根深い。これからは市民一人ひとりが自分だけでなく、他の人の健康に貢献できるようにする枠組みを考えるべきだと指摘した。

 新型コロナウイルスが猛威を振るっている現在、各個人の行動が他人の健康に影響を与えることは疑いのない事実となっている。しかし、アフターコロナの社会でも、人々がこの認識を持ち続けることで、ポジティブな結果につながる。西田氏は海外の例を踏まえ、これからのヘルスケアのベストな形を提示した。

 第2部は参加者が三つのグループに分かれ、ディスカッションを行った。第1部の内容を受け、市民が周囲の健康のためにできる取り組みとして、「誰が」「誰に対して」「どんなサービスで」「何ができるか」について意見を出し合い、各グループが発表した。

 参加者は学生、医師、医療業界関係者、報道関係者、一般企業人らで、立場や年齢、考え方もさまざまだった。意見を交わすことで、それぞれの見解を知り、考えを深めることができた。さらに、「3人寄れば文殊の知恵」と言われるように、知識やアイデアを持ち寄り、プロフェッショナルな立場から具体的なプロジェクト実現の可能性を探るなど、漠然としたテーマの中で自由な発想を広げた。

 11月29日に開催された「inochi万博フォーラム」に先駆けて行われた今回の特別会は、5年後に控えた大阪万博に向けて、若者が行う提案は決して理想論や精神論に終わらないことを示し、進むべき道筋を示してくれたと思う。若者から年配の方まで、一人ひとりの活躍でinochiを助け合う、そんな社会の実現に向けて期待が高まった。
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