治療・予防 2024/12/27 05:00
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両頬がリンゴのように赤くなることから、「りんご病」とも呼ばれる伝染性紅斑。9歳以下の子どもに多い感染症だが、大人でも小児期に感染したことがなければ罹患(りかん)する。大人の場合、頬の赤い発疹などの特徴的な症状が出ることは少なく、関節痛など別の症状が表れる。藤沢市民病院(神奈川県藤沢市)臨床検査科の清水博之診療科部長に聞いた。
伝染性紅斑(りんご病)の特徴
▽感染初期は風邪に似た症状
伝染性紅斑の病原体はヒトパルボウイルスB19(PVB19)で、感染した人のせきやくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した手で口や鼻を触り、粘膜に運んだりして感染する。一度かかると再感染しない。
感染初期は発熱や頭痛、筋肉痛、倦怠(けんたい)感など風邪のような症状が表れ、10~20日ほどたつと赤い発疹が表れる。風邪のような症状の時期は感染力が強く、発疹が出ると感染が終息したサインであり、その時期に人にうつす恐れはない。
「大人では手足に淡い紅斑が出る程度で、中には発疹が出ない人もいます。関節痛やむくみが表れる人が多いのが特徴です」と清水部長。受診しなくても自然に軽快する例がほとんどだが、関節のひどい痛みを訴えて歩行が困難になる人もいる。症状が続く場合は、別の病気の可能性もあるため受診が勧められる。
▽流産や死産のリスクも
PVB19は赤血球がつくられるのを一時的に抑えてしまう。そのため、妊婦や赤血球が壊される病気(鎌状赤血球症、遺伝性球状赤血球症など)の人や臓器移植を受けた人、ステロイドや抗がん剤の治療中で免疫力が低下している人などは注意が必要だ。
「これらの人が伝染性紅斑に感染すると、重度の貧血を合併することがあります。特に妊婦の場合、ウイルスが胎内に移行して胎児貧血や胎児水腫(胎児の腹などに水がたまって体がむくむ)を起こして流産や死産の原因になる可能性があります。妊娠前半期はその危険性が高くなります」と清水部長。
伝染性紅斑は子どもが保育園などで感染して家庭に持ち込むケースが多いとみられる。感染性が高い初期には風邪の症状と間違われやすいため、周囲の大人も感染予防が難しく、日ごろの飛沫(ひまつ)感染、接触感染による予防が重要となる。清水部長は「新型コロナウイルス感染症と同様、マスクの着用や小まめな手洗いを徹底することを心掛けましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/02/27 05:00)
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