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膝を動かす時に違和感や痛みが生じる半月板損傷。半月板は加齢に伴って傷つきやすくなるため、多くの中高齢者に見られる。ただ、運動療法などで症状が改善し、大きな支障なく生活できる人も多い。佐々木病院横浜鶴見スポーツ&膝関節センター(横浜市)の堀之内達郎センター長に治療法などを聞いた。
半月板損傷の主な症状
▽筋力低下や体重増加も原因に
半月板は、膝の中にある三日月状の軟骨だ。大腿(だいたい)骨と脛骨(けいこつ=すねの骨)の間にあり、クッションのように働いて膝にかかる負担を分散したり、衝撃を吸収したりする。この半月板が割れたり、ひびが入ったりする状態を半月板損傷という。
若い人ではスポーツや事故が原因となるが、中高年の場合、筋力の低下や体重の増加で慢性的に膝に負担がかかることで起こる。「半月板を損傷すると膝関節の周辺組織を刺激または炎症が生じて、膝に違和感や痛みが表れます」と堀之内センター長。
膝を曲げ伸ばしする時に、引っ掛かるような感覚や痛みがあれば半月板損傷が疑われる。症状が悪化すると、膝に水がたまったり、ちぎれた半月板が関節に挟まって膝を動かせなくなる「ロッキング」という状態になって激痛で歩けなくなる場合もある。
▽放置で人工膝関節のリスクも
治療法には保存療法と手術療法の二つがある。最近では運動による保存療法が推奨されているという。堀之内センター長は「スクワットや水中ウオーキングなどで大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)を強化すると症状が改善する人も少なくありません」と説明する。
肥満の人は減量も効果的だ。また、サポーターを使って膝関節を安定させたり、O脚が原因で膝の内側に体重が偏る人には足底板(インソール)などの装具を使って偏りを減らしたりする方法も有効だ。
こうした保存療法で改善しない場合は手術を検討する。手術には主に損傷した部分を切り取る「切除術」と縫い合わせる「縫合術」の2種類があり、通常は傷口が小さくて済む関節鏡を使った鏡視下手術を行う。O脚を伴う場合は、すねの骨を切って矯正する骨切り術も併せて行う。
半月板損傷を放置すると、関節軟骨がすり減る変形性膝関節症や膝関節に接する大腿骨の先端が壊死を起こして、人工膝関節にせざるを得なくなる恐れがあるという。そのため、堀之内センター長は「膝の痛みや違和感があれば、膝関節への影響が少ないうちに早めに受診して適切な治療を受けることが大切です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/03/20 05:00)
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