治療・予防 2024/11/22 05:00
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~アレルギー患者で活性化(信州大学医学部付属病院 柳沢龍准教授)~
炎症によって気道が狭くなり、せきや呼吸困難といった症状が表れる気管支ぜんそく。炎症を抑える吸入ステロイド薬など複数の薬剤を使用しても症状が残る患者に、新しい吸入薬が昨年登場した。吸入ステロイド薬と、気道を広げる2種類の薬(気管支拡張薬)を合わせて3成分配合した薬剤だ。帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区)内科(呼吸器・アレルギー)の長瀬洋之教授に治療の最新事情などを聞いた。
ぜんそく患者に確認してほしい3点
▽2成分で症状消えない人に
ぜんそくは、適切な治療を行えば症状を抑え込むことが可能だ。症状がなくても普段から吸入ステロイド薬を使い、効果が不十分な場合は重症度に応じて気管支拡張薬などを併用し、発作時には発作止めを吸入するのが一般的だ。
吸入の気管支拡張薬は主にβ2刺激薬(LABA)と抗コリン薬(LAMA)の2種類がある。吸入ステロイド薬だけで効果が不十分な場合、LABA、LAMAの一方か、両方を併用すると症状を改善できる。
ただし、両方を吸入ステロイド薬と併用する場合、使用する吸入器が複数になってしまう。薬剤ごとに1日の吸入回数や使い方が異なる場合もあり、服薬が複雑になり、手間も増えて患者の負担が大きくなる。
そこで、吸入ステロイド薬、LABA、LAMAの3成分を配合したぜんそく治療薬(製品名エナジア、テリルジー)が昨年登場した。1回で3成分を同時に吸入でき、同時吸入による新たな副作用は見られないという。
「3成分配合吸入薬の使用を検討する患者は、吸入ステロイド薬とLABAの2成分配合吸入薬を使用しても症状が消えない人や発作が頻繁に起こる人です」と長瀬教授。
▽5年で治療法が進歩
3成分配合吸入薬のほかにも、この5年ほどでぜんそくの治療法は広がっている。「ぜんそくを20年、30年患っている人は、症状のため日常生活が制限されても、『こんなものだ』と思いがちです。しかし、治療法の進歩に伴い、症状が消え、ぜんそくがあることを忘れて活動できるのです」
そこで長瀬教授は、患者自身が診察前に、〔1〕発作止めの薬が必要になったか〔2〕せきや倦怠(けんたい)感などで仕事や家事、勉強に支障があったか〔3〕吸入薬を毎回適切に使えたか―の3点について確認し、医師に伝えることを勧める。「信頼できる医師と長く付き合い、症状や気になることをありのままに伝えましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/08/09 05:00)
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