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国内の胃がんの死亡率が男女ともに減少した理由としてヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)の感染者の減少、除菌治療の普及などが挙げられる。一方、菌に感染していなくても発症する胃がんは増加傾向だ。その特徴と予防法について、日本医科大学付属病院(東京都文京区)内視鏡センターの貝瀬満特任教授に聞いた。
▽胃炎がない人に発症
胃がんの発症原因のほとんどがピロリ菌感染とされるが、過去に菌に感染したことがない人が胃がん患者全体のうち0.42~2.5%程度はいるとの報告がある。「全体の割合で見るとまれですが、近年、発症者は増えています。当院では、胃がん全体の5%程度が未感染者です」と貝瀬特任教授は話す。
ピロリ菌陽性者や除菌療法後に陰性になった後で胃がんになる人では、菌が原因で慢性的な胃炎が生じ、それに続き胃がんを引き起こすといわれる。一方、感染していなくても、自己免疫性胃炎という病気やEBウイルスへの感染、遺伝的要因から胃がんを発症することがある。
ただし、ピロリ菌が関与しない胃がんのほとんどは慢性胃炎を伴わないため、自覚症状がなく、多くが健康診断などの内視鏡検査で見つかる。
▽内視鏡検査で早期発見を
ピロリ菌未感染の胃がんは感染で発症する胃がんとは特徴が異なる。前者は、形や色がラズベリーに似た「ラズベリー型胃がん」を含めて数種類が報告されている。「内視鏡で見ると明らかな違いがあります。未感染者の胃がんは、食道胃接合部にできるがんを除けば、進行がんはまれです。治療後の経過が良いのも特徴です」と貝瀬特任教授。
ただ、内視鏡検査でないと見つからないため、過去にピロリ菌に感染していないからと安心せず、内視鏡による検診を受けることが重要だ。
「胃がんの内視鏡診断は、医師の経験による差が大きいとされますが、今年中にも胃がん内視鏡診断AI(人工知能)が薬事承認され、臨床の現場で使用が始まる見込みです。将来的に全国で診断精査の高い内視鏡検査が受けられる技術として期待されています。胃がんへの関心を高め、定期的に内視鏡検査を受けることが胃がんの早期発見、治療につながります」と貝瀬特任教授はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/08/05 05:00)
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