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美容や健康への関心の高まりで注目されている現代版の断食「ファスティング」。病気の予防や改善効果でも科学的根拠が報告されているという。銀座よしえクリニック都立大院(東京都目黒区)の青木晃院長に聞いた。
▽自律神経が活発に
人は食事から排便までに約12~72時間かかる。「狩猟の時代は飢餓と常に隣り合わせでした。これを乗り切るために、人の体には消化管が空になると、内臓や血管などの機能をコントロールする自律神経の働きが活発になる機能が備わっています。ファスティングはその状態を擬似的につくる健康法と言えます」と青木院長。
近年、ファスティングはアンチエイジング医学の分野で注目されている。細胞のエネルギーとなるミトコンドリアの活性化や、細胞レベルのデトックスとも言われ、老化防止に役立つ「オートファジー機構」の活性化、成長ホルモンの分泌促進、細胞の基になる幹細胞を増やす効果などが生じると考えられている。
▽目的に応じた方法で
ファスティングに関する病気の予防や改善効果の研究も進んでいる。2019年には、過去の研究の検証から、食間を長く取る「インターミッテント・ファスティング」などの方法で、心血管機能の改善、肉体的なパフォーマンス向上、糖尿病や肥満の改善、認知機能の向上が認められたと報告された。
青木院長は「ファスティングには、固形物を48時間抜いて自律神経をリセットする方法や、糖質過多をリセットする3日間の糖質(炭水化物)制限、オートファジー機構やミトコンドリアの活性化など、目的に応じた方法があります」と説明する。
水以外を取らないのが最も効率的だが、厳格なファスティングは、開始直後に頭痛や動悸(どうき)などの症状が出たり、自分流で繰り返すうちに摂食障害に至ったりする場合もある。医師や専門家の管理下で行うことが重要だ。
「ファスティングは生活習慣病の人に向いていますが、糖尿病で薬物療法中の人などは低血糖のリスクもあるため、事前に主治医に相談してください。また、免疫機能の維持にはタンパク質が必要です。新型コロナウイルス感染症が流行している今は慎重に行いましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/10/24 05:00)
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