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黄斑ジストロフィーは遺伝的要因で網膜の黄斑部が侵され、視力が徐々に低下する病気の総称で、厚生労働省の難病に指定されている。国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)眼科の東範行診療部長は「診断されても悲観的にならず、現在の視力や進行を考え、多角的な支援が期待できるケアを受けて生活してください」と話す。
黄斑部は視力に大きく関与。わずかな遺伝子異常で障害が
▽視力低下や色覚異常
目の構造はカメラに似ていて、フィルムに相当する網膜は映像を電気信号に変換し、脳へ伝える。その中心が黄斑部で、東医師は「黄斑部は視力に大きく関わっています。複雑な機能が備わり、わずかな遺伝子の異常でも障害が出やすい場所です」と説明する。
黄斑ジストロフィーは「卵黄状黄斑ジストロフィー(ベスト病)」「スターガルト病」「オカルト黄斑ジストロフィー」「錐体(すいたい)および杆体(かんたい)ジストロフィー」「X連鎖性若年網膜分離症」「中心性輪紋状網脈絡膜萎縮」など、障害を受ける場所で分類される。視力低下以外に、色覚異常や夜盲、まぶしがるなどの症状を伴う。学童期前後に気付くことが多いが、青年期以降に判明するものもある。
▽生活の各種支援
診断には眼底検査や蛍光眼底造影検査、網膜や視神経の構造を調べる光干渉断層計(OCT)検査、特殊な光で網膜の電気反応を調べる網膜電図検査などを重ねる必要がある。
現在は傷んだ網膜を回復させる治療法は無いが、将来的な治療として三つの研究が進められている。一つ目は遺伝子治療。網膜で光を受け取る視物質というタンパク質は、壊れると分解され再び視物質として生まれ変わる。このサイクルに必要な特殊なタンパク質を作る遺伝子を補い視力低下を抑制する。
二つ目は人工網膜で、コンピューターチップのような装置を網膜に埋め込み、映像を電気信号に変換する。海外では網膜色素変性症などを対象に試験が行われている。三つ目は人工多能性幹細胞(iPS細胞)から網膜を作り、患者に移植するものだ。
実生活や仕事では、目を保護する遮光眼鏡や高倍率のルーペ・単眼鏡の使用、フォント拡大やパソコンの読み上げ機能などの支援方法もある。「視力低下には個人差があるので、経過を見ながら、必要に応じた支援を主治医と相談してください」と東医師は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/11/13 05:00)
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