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口の中にたまった唾液が飲み込む量を超えて口からあふれ出る症状が病的に続く状態を流涎(りゅうぜん)症という。原因や治療について、鶴見大学歯学部付属病院(横浜市)口腔(こうくう)機能診療科の中川洋一学内教授に聞いた。
飲み込む練習で、嚥下機能が改善する
▽分泌量は正常の場合も
唾液が多いと感じる流涎症には、実際に分泌量が増加している場合と、増えていないのに何らかの理由で増えたと感じてしまう場合がある。
唾液分泌量が増加している場合、原因としては妊娠時のつわり、胃もたれ、胃炎、胃潰瘍、口内炎などが挙げられる。しかし、原因が特定できないケースが最も多く、自律神経の影響が関連しているのではないかとも考えられている。中川学内教授は「義歯を使っている人では、義歯の状態が悪いなど口の中に問題があることもあります」と話す。
一方、唾液分泌量に異常はないものの、唾液が口にたまってあふれる場合は、飲み込み(嚥下=えんげ)機能の低下が考えられる。「嚥下機能の低下は加齢によっても起こりますが、筋萎縮性側索硬化症や多発性硬化症、パーキンソン病といった難病のほか、多発性脳梗塞、扁桃(へんとう)炎、扁桃周囲膿瘍(のうよう)などの病気、顎の骨折や関節脱臼などが原因となっていることもあります」。無意識によだれがあふれ出る場合は、病気が原因の可能性があるという。
▽飲み込む練習が有効
唾液分泌量が増加しているケースでは、原因の病気が分かっていればその治療を優先する。自律神経が影響している場合には、自律神経に作用する薬を服用し、分泌量を改善させる。日頃のケアとしては、口の中を清潔に保つことが重要となる。
一方、唾液分泌量は正常で飲み込むタイミングがつかめなくなっている場合は、まず嚥下機能の低下を引き起こす病気がないかを確認する。その上で、病気があれば治療を開始する。受診する診療科は、神経内科や耳鼻咽喉科、歯科などが挙げられるという。
中川学内教授は「嚥下機能の影響で唾液が多く感じられる場合は、吐き出したりうがいをしたりするのではなく、姿勢を良くして顎を引き、唇を閉じた状態で飲み込むようにしましょう。嚥下機能が改善し、自然に唾液を飲み込むことができるようになります」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/11/28 05:00)
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