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かつては自家中毒と呼ばれることもあったアセトン血性嘔吐(おうと)症は、欧米では周期性嘔吐症という病名が付いている。聞き慣れないが、どのような症状なのか、国立成育医療研究センター病院(東京都世田谷区)総合診療部の窪田満統括部長に聞いた。
受診後でも、繰り返す嘔吐でぐったりするようなら、ためらわず再受診を
▽息が果物の腐敗臭に
アセトン血性嘔吐症は3~7歳ぐらいの子どもに見られる。数時間もしくは数日間、嘔吐を繰り返すのが大きな特徴で、噴水のように吐しゃ物を戻したりする。その激しさのため、周囲は重い病気ではないかと心配になる。
脂肪が肝臓で分解されると、ケトン体(アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸、アセトンなど)という物質が生成される。アセトン血性嘔吐症では血液中にケトン体が増え、アセトンは気体となって呼気中に排出される。「リンゴなどの果物が腐る時の甘酸っぱいような口臭(アセトン臭)は、この病気の特徴の一つです」と窪田統括部長は説明する。
引き金は心身のストレス、睡眠不足、風邪などと考えられている。その背景には神経伝達物質の関与が指摘されているが、ケトン体が増えることと発症の因果関係などは明らかになっていない。
▽脱水に要注意
窪田統括部長によると、アセトン血性嘔吐症の症状は、ノロウイルス、ロタウイルスなどによる急性胃腸炎と似ており、発症初期の段階で区別するのは難しいという。「嘔吐に続いて下痢が生じるようなら急性胃腸炎、下痢がなければアセトン血性嘔吐症の可能性があります。後者は自然に治癒することが多く、7歳以上ではほとんど見られなくなります」と窪田統括部長。
治療は、まずは制吐剤などを投与し、注意深く経過を見守ることになる。たびたび戻して食物を経口摂取できない場合は、点滴で水分と栄養分を補給する。
症状はいったん治まっても、ぶり返すことがある。「受診後に嘔吐することがあります。特に、脱水には注意が必要で、嘔吐を繰り返すうちに元気がなくなり、ぐったりしてきたら、ためらわず再受診してください」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/01/02 05:00)
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