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肺炎は日本人の死亡原因の上位を占め、肺炎で死亡する患者の9割以上を高齢者が占める。東北大学病院(仙台市)耳鼻咽喉・頭頸部外科の香取幸夫教授に、高齢者に多い「誤嚥(ごえん)性肺炎」について聞いた。
▽患者は80歳代が最多
誤嚥性肺炎は、飲食物や唾液と一緒に細菌が誤って気管に入ることで発症する。健康な人であれば、反射的にむせて防ぐことができる。しかし、高齢者や脳卒中後遺症、パーキンソン病などを抱える人はこうした働きが低下し、発症しやすい。
香取教授らが、2019年宮城県内の8病院で入院治療を受けた肺炎患者1800人を調査した結果、誤嚥性肺炎の患者は80歳代で最も多かった。「日ごろから口腔(こうくう)ケアに努め、食べ方などに注意することで発症を予防できます」
寝ている間に唾液に混じった細菌が気管に入ることも多い。歯科医から指導を受け、適切な歯磨きや入れ歯のケアを心掛けたい。食べ物が飲み込みにくいようであれば耳鼻咽喉科に相談する。
▽食べることに集中
「献立は、好物を中心に栄養をバランスよく取れるように配慮し、飲み込みにくいものには適度にとろみを付けます。唐辛子を味付けに使うと嚥下(えんげ)の反射がよくなり、誤嚥性肺炎が減ると報告されています」と香取教授。
また、食べる時はやや前かがみになり、顎を引き気味にすると飲み込みやすい。両足を床に着け、食べやすい姿勢を維持できるように椅子の高さを調節する。寝たきりの人はベッドの角度を調節して踏ん張りやすいようにし、頭の後ろに枕などを挟む。
食事中は食べることに集中し、一口ずつよくかんでしっかり飲み込む。食べた後で「アー」と声を出したり、軽くせき払いしたりすると、正しく飲めたことが確認できる。食後30分から1時間ほどは上体を起こしておくことも大切だ。
食事前や入浴中などに首や肩、口、舌、頬を動かしたり、「パピプペポ」とゆっくりはっきり繰り返し発声したりすることも予防に役立つ。
誤嚥性肺炎は発熱、せき、たんなどの症状が軽いことが多く、家族が発症に気付きにくい。香取教授は「お年寄りに何となく元気がないなどの様子が見られたら、かかりつけ医に相談してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/01/27 05:00)
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