治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
スギやヒノキの花粉によるアレルギー反応で、鼻腔(びくう)や眼球の粘膜に炎症が起きて、くしゃみや鼻水、涙、目のかゆみなどの「花粉症」に悩まされている人は多い。その中で、額や口、目、首の周りなどにかゆみを感じたり、赤くなったりしている人もいるはずだ。特に、スギやヒノキの花粉が飛散する時期に症状が悪化する人は、皮膚にも花粉アレルギーが起きている可能性が高い。
目の周りから頬にかけて花粉の影響による皮膚炎だけでなく、顔全体にも赤みが=野村医師提供
◇冬の乾燥でダメージ蓄積
「ハウスダストやダニに対するアレルギー反応が皮膚に起きるのが、アトピー性皮膚炎。同様に、スギやヒノキの花粉でアレルギー性の皮膚炎が起きても不思議はありませんが、意外に知られていません。しかも、春先は冬の乾燥で皮膚にダメージが蓄積して、異物に対する防御機能が低下しているので、発症しやすい状況と言えます」
アトピー性皮膚炎治療に詳しく、横浜市で皮膚科クリニックを開業している野村有子医師は「花粉の飛散に合わせて、皮膚のトラブル相談も増える」と解説する。症状が出やすいのは、額や目と頬の周囲、首周りなど露出していている部位。人によっては全身に症状が出る人もいるという。
「洗濯物の外干しや、換気の際に、大気中に飛散した花粉が下着や寝具などに付着し、これが皮膚に接触してアレルギー反応を引き起こすこともある。鼻炎の予防法と同様、洗濯物の外干しは避け、刺激の少ない天然素材の下着などを選ぶなどの対策は有効」と野村医師は言う。
このほかにも、花粉が付着しにくい素材のコートなどを選んだり、花粉が着きやすい髪の毛を帽子やフードで覆ったりすることは、鼻炎対策と同様だ。さらに、帰宅後は手洗いと同時に洗顔も忘れずにし、早めに入浴して髪の毛や皮膚に付着した花粉を洗い流すことと、その後の保湿を心掛けるなど基本的な自衛策が有効だという。
額と目の周りに、花粉による皮膚炎が=野村医師提供
◇皮膚科の専門治療
しかし、花粉を完全に防ぐことは難しいし、炎症が起きてしまえば、治療が必要だ。基本は鼻炎などと同じく、アレルギー反応を予防・抑制する抗ヒスタミン剤の内服になる。ただ、皮膚の炎症自体はその部分に外用クリームを塗って症状を抑える必要がある。
「クリームは保湿剤がベースだが、症状が強いときは炎症を抑える効果の高いステロイドを含む薬を使い、収まった段階で副作用の少ない非ステロイドに切り替えて状態を維持します。治療は花粉飛散が本格化する直前からが望ましい。皮膚の症状に悩んでいる人は、一度は皮膚科の専門医の診察と治療を受けてほしい」と野村医師はアドバイスしている。
特に、一年を通してかゆみなどの症状があり、スギやヒノキの時期に激しくなる人は、要注意だ。ハウスダストやダニにアレルギーを持っている場合は、他の植物の花粉などに対してもアレルギーがある可能性が考えられるからだ。「そのような場合は、一度、医療機関でアレルギーの検査をして、原因物質を確かめておくことを勧めます」と野村医師は話している。(喜多壮太郎)
(2022/02/25 05:00)
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