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太る原因の一つは、食べる量が多過ぎること。重度の肥満に対して胃を外科手術で小さくする手法が既に効果を上げているが、最近、口から内視鏡を入れて手術する方法が開発された。研究的な治療を開始した東京慈恵会医科大学(東京都港区)内視鏡医学の炭山和毅教授に聞いた。
口から内視鏡を入れて手術する
▽基本は生活の是正
「肥満は極端な体重増加がなくても、糖尿病や高血圧症、脂質異常症などを引き起こし、さらに脳卒中、心筋梗塞へとつながる『ドミノ倒し』の最初のコマになります。実際に肥満に関連したメタボリックシンドロームのある肥満症と呼ばれる人は多くいます。何らかの減量治療が必要です」(炭山教授)
減量治療については、「基本は食事、運動などの生活習慣の是正です。さらに、薬の服用や心理的な治療を行う場合もあります」と話す。しかし、実際には減量は難しい。「特に高度の肥満の人はいったん減量できても、ほとんどがリバウンドしてしまうのが実情です」
▽内側から縫い縮める
こうした中、確実な効果が見込めると注目されるのが減量手術だ。手術法はさまざまあるが、健康保険が使えるのは「腹腔(ふくくう)鏡下スリーブ状胃切除術」。腹に小さな穴を数カ所開け、そこから内視鏡や手術器具を入れて胃の約80%を切除し、スリーブ(袖)状にする。体重を30~40%減らし、そのレベルを長く維持できる。体格指数(BMI)35以上で2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症のいずれかを持つ人などが対象になる。
これに対し、炭山教授らが導入した「内視鏡的スリーブ状胃形成術」は、同教授らが米国との共同研究で開発した縫合器と内視鏡を口から挿入し、胃を内側から縫い縮める減量手術法だ。
「減量効果は腹腔鏡下スリーブ状胃切除術に比べるとやや劣りますが、内科的治療より高いことが海外の研究で証明されています。おなかに傷痕を残さない上、体により優しく安全性も高いので、高度の肥満でない人にも選択しやすい治療になると考えています」と炭山教授。研究的治療を希望する人を募集している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/04/15 05:00)
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