治療・予防

放置するとがんにも
非アルコール性脂肪肝炎

 糖尿病や肥満などの増加に伴い、脂肪肝になる人が増えている。脂肪肝の中には進行性の「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」があり、放置するとがん化する可能性もある。順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)消化器内科の渡辺純夫特任教授にNASHの原因と治療法について聞いた。

 ▽良性でも油断禁物

 以前、脂肪肝は飲酒量の多い人がなる病気と考えられていたが、お酒をほとんど飲まないのに脂肪肝になる人が増えている。この「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」は、糖尿病や高血圧、脂質異常症や肥満などの生活習慣病が発症に関係しているとされている。

 NAFLDの80~90%は進行する恐れのない良性の脂肪肝だが、残りの10~20%は徐々に進行する可能性のあるNASHだ。NASHは肝臓に脂肪が蓄積するだけではなく、炎症を伴い、肝臓が硬く変質する線維化を生じる。一部は肝硬変や肝がんに進むため、早期発見、早期治療が重要だ。

 問題なのは、最近の研究で、良性の脂肪肝からNASHに変わり、さらに、肝硬変や肝がんに進む例があることが分かってきたことだ。渡辺特任教授は「良性の脂肪肝でもがんの発症リスクは高いと考え、油断せず治療することが重要です」と警鐘を鳴らす。

非アルコール性脂肪肝炎から肝がんへの進行プロセス

 ▽目標は7%減量

 NAFLDとNASHは基本的には目立った症状がないため、健康診断で肝機能の低下やメタボリック・シンドロームを指摘され、医療機関を受診して初めて判明することが多い。

 ただ、肝臓の脂肪を減らすための有効な特効薬はないため、「合併する生活習慣病などの薬物療法と並行して体重を減らすしかありません」と渡辺特任教授。現在の体重を7%減らすことができれば、脂肪肝や炎症は改善するという。

 また、肥満の人は過食しやすい傾向があるが、渡辺特任教授は「現在の食事量の7割ほどを目指すよう指導しています。同時にウオーキングなどの有酸素運動を習慣付けることが大切です」としている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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