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国民の2人に1人が罹患(りかん)しているアレルギー疾患診療の地域格差をなくそうと、東京慈恵会医科大学付属第三病院(東京都狛江市)小児科の勝沼俊雄診療部長は「診療の均てん化を目指し、2021年に看護師や薬剤師などを対象としたアレルギー疾患療養指導士(CAI)制度を立ち上げました」と話す。
各専門家(CAI)から適切なアドバイスが受けられる
▽専門医が少ない
ぜんそくやアトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を持つ人は増加しているが、患者数に対し専門医は少ないのが現状だ。
日本アレルギー学会では診療の均てん化推進という国の方針に従い、約10年前から診療科の垣根を越えた総合的アレルギー専門医の育成に力を入れてきた。しかし、育成だけでは限界があり、実現には至っていない。
また、アレルギー疾患の治療薬は内服薬だけでなく、吸入薬、外用薬、噴霧薬など幅広く、新しい治療の選択肢も増えており、正しい使い方の指導が必要となっている。勝沼医師によれば、同病院を受診した重症ぜんそくの子ども135人の調査で、吸入指導だけで40%が軽症化したという。「吸入薬を正しく使えるように指導できれば、重症化を防げる患者は多いのです」
勝沼医師らは、医師と看護師、薬剤師、栄養士らが連携して診療に当たるチーム医療に着目。関連医療スタッフを対象としたCAI資格を創設した。
▽チームで底上げ
CAIは、アレルギー疾患全般の治療や管理に関する専門知識を備え、医師との間に入って患者や家族の指導に当たる。例えば、ぜんそくの吸入薬は薬も関連機器も種類が増え、さらにきめ細かな患者指導が必要とされ、そうした場面での活躍が期待される。
昨年6月に第1回の認定試験が行われ、約600人の新人CAIが生まれた。今後10年で1万人以上の認定を目指す。さらに、医師とCAIによるチーム医療の効果を科学的に検証していく予定だという。
CAIが病気のこと、薬の使い方、生活上の注意点のほか、疑問にも答えることで患者は安心感を得られ、治療の底上げにつながる。勝沼医師は「患者さんが正しく薬を使えば症状が改善し、QOL(生活の質)も向上します。全体として重症患者が減り、さらに医療費や労働損失を減らし経済的なメリットも期待できるでしょう」と語っている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/04/27 05:00)
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