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頸部(けいぶ)脊柱管狭窄(きょうさく)症は首の病気だが、症状は首だけでなく肩や手足にも表れる。気付きにくいこの病気について、東京脊椎クリニック(東京都北区)の梅林猛院長に聞いた。
脊髄が圧迫されると、両手足がしびれたり動かしにくくなったりする
▽首の神経を圧迫
背骨には「脊柱管」と呼ばれる神経の通り道がある。頸部脊管狭窄症は、首の脊柱管が狭くなり、中を通る神経である脊髄や、脊髄から左右に枝分かれする神経根が圧迫されて起こる。
「脊柱管の狭窄は加齢によって起こりやすくなります」と梅林院長。背骨を構成する骨と骨の間の椎間板が加齢に伴ってつぶれると、骨のへりが出っ張ってくる。また、椎間板がつぶれると首が縮むため、骨をつなぐ靭帯(じんたい)がたわんで厚くなる。こうして脊柱管が変形し、狭くなった部分で神経が圧迫される。日本人は首の脊柱管が生まれつき狭い人が多く、欧米人に比べて発症しやすいという。
最初に表れる症状は、首や肩の痛みや凝りだ。「症状に波はありますが、肩甲骨周りの痛みを訴える人にこの病気が隠れているケースが多いです」
狭窄が進むと、さまざまな神経症状が生じる。神経根が圧迫された場合、左右どちらかの腕や手にしびれや痛みが生じる。脊髄が圧迫された場合は、両手足がしびれたり動かしにくくなったりする。「ボタンの掛け外しがしにくい、脚が突っ張って歩きにくいなどの症状から、異変に気付く人もいます」。まれに頻尿や尿が出にくいなど排尿の異常が起こることもある。
▽症状に合わせ治療選択
気になる症状があれば、脳神経外科や整形外科で脊椎や脊髄を専門とする医師の診察を受けよう。症状の出方、神経障害の程度、手指の運動機能などを調べて原因を探る。首のX線検査なども行われるが、「画像で見える狭窄の程度と重症度は必ずしも一致しません」
治療は症状に合わせて選択する。多くは薬物療法、運動療法、注射で薬を投与するブロック療法などで改善する。長時間スマートフォンを見るような生活は椎間板に負担をかけるため、普段の姿勢にも気を付けたい。
日常生活に支障がある場合や磁気共鳴画像装置(MRI)で神経に傷が付いていると分かった場合などは、神経への圧迫を取る手術を検討する。梅林院長は「手術を先延ばしにすると、神経の損傷が進んで症状が残ってしまうことも。手術を勧められたら、リスクとメリットをよく考えて、適切な時期に受けてください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/06/26 05:00)
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