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更年期障害は女性特有のものと思われがちだが、男性も加齢に伴う男性ホルモンの減少により発汗やいらいら、性欲減退などの症状が表れる。医学的には「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれる男性更年期障害について、順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)泌尿器科の堀江重郎教授に聞いた。
▽発症年代に個人差
女性の更年期障害は、閉経前後に女性ホルモンの分泌が急激に減少して表れる。男性の場合は加齢に伴い、30代からテストステロンなどの男性ホルモンが徐々に低下し、幅広い年代で起きる。症状は発汗などのほか、ほてり、体の痛み、疲れやすい、やる気が出ない、眠れないなど、さまざまだ。
テストステロンには筋肉や骨の量を増やしたり、意欲や認知力を向上させたりする働きがある。「簡単に言うと、動物の狩りに関わるホルモン。現代社会では仕事や自己表現、仲間づくりなどの社会性に関わります。テストステロンの分泌低下と社会活動の低下が重なると、更年期障害を発症しやすくなります」と堀江教授は説明する。
定年退職がきっかけになるのが典型的な例だが、30代でも仕事で評価されないといったストレスなどが誘因になる。一方、高齢でも趣味や人付き合いなど社会活動が充実していると症状は表れにくいという。
▽重症にはホルモン療法
診察では問診と、男性ホルモンの値を調べる血液検査を行う。意欲の低下や疲れやすさなどはうつ病や甲状腺機能低下症などでも生じるため、他の病気ではないか見分けることが重要になる。
患者の多くは、生活習慣の見直しで症状が改善する。ストレスの要因を取り除く、質の良い睡眠を取る、仕事や趣味、地域社会での活動などを通じて社会性を向上させる―などが大切。適度な運動も男性ホルモンの分泌につながるという。
重症の場合、テストステロン製剤を2~4週間ごとに注射するホルモン補充療法が行われる。3カ月行って効果があれば、1年ほど継続する。「副作用の心配はほぼありませんが、血液が固まりやすくなるため、血液をサラサラにする抗凝固薬を服用中の人は注意が必要です」と堀江教授。高齢者には漢方薬も有効だ。また、症状に合わせ勃起不全の治療薬や抗うつ薬なども用いる。
更年期障害は自分では気付きにくいため、気になる様子がないか、周囲も注意したい。受診の際は「泌尿器科、特にメンズヘルス外来を設けている医療機関をお薦めします」と堀江教授はアドバイスする。外来のある医療機関は日本メンズヘルス医学会のウェブサイトに掲載されている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/08/02 05:00)
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