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食事量が多く運動不足の人は、消費しきれない脂肪が肝臓に蓄積する脂肪肝のリスクが高い。その中で、肝臓が硬くなる肝硬変、肝がんへと移行するのが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)だ。武蔵野赤十字病院(東京都武蔵野市)の泉並木院長に早期発見、早期治療の重要性について聞いた。
脂肪肝と生活習慣の改善
◇自覚症状なしに進行
肝がんの原因の8割を占めていたウイルス性肝炎は治療薬の開発が進み、激減している。ただし、肝がんの患者数が大幅に減っているわけではない。NASHから肝がんになる人が増えているからだ。
「健康診断で約3割の人が肝機能障害を指摘され、その多くが脂肪肝です。そのうち10~20%が炎症によって肝臓が硬くなり肝がんに移行するNASHとされています」
肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれるほど自覚症状が出にくいため、健康診断で肝機能が基準値以上でも医療機関を受診しない人が多い。しかし、脂肪肝から肝がんを発症する人が増えており、放置するのは危険だ。
◇肝臓の硬さを評価
「脂肪肝とともに、既に肝臓が硬くなり始めているのかを見極めることが重要です」。肝臓の硬さは、超音波検査や磁気共鳴画像装置(MRI)検査、血液検査で評価できる。
NASHと診断された場合でも、食事療法や運動療法に取り組み、肝臓の脂肪が減れば改善も見込める。一方、脂肪肝を放置するとNASHや肝硬変に移行することがある。肝臓の線維化(硬化)が進むと、肝がんのリスクだけでなく、脳卒中や心筋梗塞などの病気のリスクが高くなる。
「健康診断で肝機能の異常を指摘されたら、まず食事と運動習慣を見直しましょう。間食をなくすだけでも無駄なエネルギー摂取を減らせます」。運動は、ウオーキングなどの有酸素運動の前にスクワットなどを行うと効果的だ。
「生活習慣を改善した後の健診で再び肝機能の異常を指摘されたら、早めに医療機関を受診して検査を受けましょう」と泉院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/01/25 05:00)
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