脂肪肝〔しぼうかん〕 家庭の医学

 脂肪肝は、肝臓に中性脂肪を主体とした脂肪がたまった状態をいいます。原因は肥満、アルコールが大部分を占めます。治療は原因の除去、すなわち肥満解消としてエネルギー制限、アルコール制限となります。

■肥満の解消
 脂肪肝に対する肥満解消のための特別な食事療法はありません。一般の肥満の食事療法と同じです。すなわち、①目標体重(糖尿病、肥満の項参照)を基準にした適正なエネルギー量の摂取、現体重が目標体重と隔たりがある場合は第一ステップとして現体重の3%の減量を目指す、②栄養のバランスをとり、特に脂質エネルギーのとりすぎに注意する、③ビタミン、ミネラル、食物繊維をたっぷりとるの以上3点です。
 食べかたとしては、次の2点があげられます。

 1.3食のエネルギーを、平均的にとるようにします。食事をきちんとしないとどうしても間食が多くなり、間食は甘い菓子や飲み物、スナック菓子になりやすく、その結果、脂質や糖分が多くなってしまうからです。
 2.ゆっくり食べる習慣を身につけるようにします。早食いは食べすぎを招きやすいものです。
 くわしいことは肥満の項(肥満の食事療法)を参照してください。中年男性の肥満の原因には、外食・中食(そうざい、弁当類など)・宴会、仕事でおそくなって、夜中に夕食をたっぷり食べて、すぐ寝てしまう、というような生活パターンがみられます。職業をもつ社会人にとって生活パターンの改善は困難かもしれません。ベストでなくてもいまよりベターにと考え、できること、たとえば、夕食のアルコールは1日おきにする、夕食は脂肪の多いものを減らすなど、自分が取り組みやすいことから、始めるといいでしょう。

■アルコール制限
 アルコール性の肝障害は、飲んだアルコール量が問題となります。したがって、アルコールの種類を工夫しても、アルコールを飲まない休肝日をつくっても、1回に飲む量を減らしても、飲めば飲むだけ、肝臓に負担をかけることになります。
 アルコールの肝臓への影響は人種・性別・個人によって違います。ですから、同じように飲んでも、肝障害を起こす人とそうでない人がいるわけです。アルコール性の脂肪肝になる人は、アルコールが好きな場合が多いので、すこしの量では、なかなかやめられないものです。すこしの量でやめる自信のない場合は、禁酒をおすすめします。また、アルコールは、人にすすめられることが多いものですが、車の運転やドクターストップなどを理由に、飲まないと明言したほうが賢明といえそうです。

(執筆・監修:自治医科大学附属病院臨床栄養部 栄養管理室長 茂木さつき)