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尿路に細菌が入り込んで炎症が起きる病気を、総称して尿路感染症と呼ぶ。代表的なのが尿路の下部で起こるぼうこう炎と上部で起こる腎盂(じんう)腎炎だ。さいたま泌尿器科クリニック(さいたま市)の林達郎院長は「昼夜の寒暖差が激しい季節の変わり目と、冬場の乾燥期は、特に注意が必要です」と警鐘を鳴らす。
細菌感染による炎症で起きるぼうこう炎と腎盂腎炎
◇免疫力低下が誘因
尿は腎臓で作られて腎盂に集まり、尿管を通ってぼうこうへ送り出される。ぼうこうにたまった尿は、尿道を通過して排出される。この道筋が尿路で、そこに外部から細菌が侵入して炎症が起こるのが尿路感染症だ。
「正常時の尿中に細菌はいません。皮膚常在菌がバリアーになって、尿道口を守っているためです。免疫力が落ちると、本来は腸内で働く大腸菌などの細菌がぼうこうに入り込み、炎症を起こす。これがぼうこう炎です」と林院長は説明する。
免疫力が落ちる理由は主にストレスや冷え。性行為も感染の原因になることが多い。ぼうこう炎の大半は単純性と呼ばれる種類で、特に若い女性は要注意だ。「理由は肛門と尿の出口が近く、尿道も男性に比べて短いためぼうこう内に細菌が入りやすいからです。また免疫低下で膣(ちつ)内の常在菌も減り、ぼうこう炎と同時に膣カンジダ症にかかることもあります」
自覚症状は頻尿、残尿感、排尿時の痛み、血尿などだが、「ぼうこうの感覚は鈍いため、下腹部にぞわぞわする違和感があれば、すでにぼうこう炎というケースが目立ちます」という。
◇ぼうこう炎で治す
受診先は泌尿器科が良いが、内科でも対応している。診断は尿検査で可能だ。
「ぼうこう炎の段階で治すことは、腎盂腎炎の予防にもなります。処方される抗菌薬の服用に加え、水分を多く取って細菌を早く排出することも大切です。治療が遅れたり、抗菌薬を中断したりして放置すると、ぼうこう内の細菌が尿管を滝登りのように移動して腎盂に達し、腎盂腎炎を発症するケースがあります」
ぼうこう炎悪化時の症状は微熱、腰と下腹部の痛みだが、腎盂腎炎は背中の腎臓の位置をたたいたときの痛みと高熱が夕方に見られることが特徴だ。
ぼうこう炎の予防には「トイレに行くことを我慢しない、排せつ後は前から後ろに向かって拭く、温水洗浄便座のビデは常在菌を飛ばし菌を侵入させやすくするため、控えるか軽い水流で洗浄します。また、ぼうこう炎を繰り返す人は、陰毛の処理も有効でしょう」と林院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/02/19 05:00)
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