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コロナ禍で在宅勤務が増えた影響からか、「自宅で吸う本数が増えた」と言う喫煙者は多い。心配されるのは同居する家族の受動喫煙だ。最近、小学生の継続した受動喫煙が肥満リスクを高める可能性のあることが分かった。東京医科歯科大学大学院(東京都文京区)国際健康推進医学分野の藤原武男教授に話を聞いた。
自宅での受動喫煙
◇呼吸機能低下の原因にも
2020年4月、受動喫煙の防止を目的に改正健康増進法が施行され、多くの施設などが原則禁煙となった。受動喫煙による健康への影響が大きい子どもや患者に配慮することも盛り込まれたが、家の中での受動喫煙には規制がない。
子どもの受動喫煙は「せき、たんなどの症状を誘発するだけでなく、気管支ぜんそく、呼吸機能低下などの原因になるとされます。妊娠中の母親の喫煙により、子どもが小学生になったときの肥満リスクが上がるということが国内外で報告されています」。
◇受動喫煙なくなると太らない
藤原教授らの研究グループは、東京都による「子どもの健康・生活実態調査」のデータ約3600人分を分析。小学4年時(18年)と6年時(20年)の受動喫煙が「継続的になし」「継続的にあり」「途中から中止(親が子どもの前で吸わなくなった)」「途中から開始(親が子どもの前で吸い始めた)」のグループに分け、体格指数(BMI)の変化を調べた。
その結果、受動喫煙の「継続的にあり」グループは、「なし」グループに比べ、太るリスクが4年・6年時ともに高いことが分かった。「この関係は男子でのみ見られました。たばこの煙に含まれる有害物質が、脂肪の分解を抑えて体重増加を招くと考えられますが、それに関連する『遺伝子多型』(人口の1%以上の頻度で存在する遺伝子の変異)の影響が男子に出やすいためと考えられます」
また、「中止」グループの太るリスクは、二つの時期ともに「なし」グループと差がなかった。受動喫煙がなくなれば、太るリスクも低下することが示された。
藤原教授は「子どもの肥満は成人後も続き、それが生活習慣病を起こし心臓病、脳卒中などのリスクを高くする。保護者は子どもの前で喫煙しないように」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/04/16 05:00)
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