研修医こーたの出来たてクリニック

コロナ禍で小児肥満が増加の恐れ
成人後の糖尿病にリスク(研修医・渡邉昂汰)

 新型コロナウイルスの「第3波」が本格化し、年末年始の観光支援事業「Go To トラベル」が全国で一斉停止となりました。飲食店への支援策「Go To イート」も北海道や東京、大阪などで販売を一時停止となりましたが、「予約サイトを介せば、1人当たり1000円の飲食が実質無料」という破格の制度なため、普段あまり外食をしない家族も楽しんだようです。

コロナ自粛で増えがちな小児の肥満 ヘルシーな食事で早期の改善を!

コロナ自粛で増えがちな小児の肥満 ヘルシーな食事で早期の改善を!

 ◇コロナ自粛で増えるであろう小児肥満

 ここで気になるのが、子供たちの健康です。外食の増加や偏った食事などによって小児の肥満は増加し、30年前と比べると2~3倍となっています。現在、増加のピークは過ぎ、ゆるやかに減少傾向に転じてきてはいますが、1割程度の子供に肥満を認めます。肥満は長い時間をかけて生活習慣病や動脈硬化などを引き起こしますが、これらに自覚症状はなく、放置されがちです。その結果、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患のリスクが上昇するため、肥満は最も介入すべき健康問題の一つとして、近年注目されています。

 ◇小児肥満は将来的な糖尿病のリスク

 「大人になってから痩せれば問題ない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、成人してからの体重にかかわらず、小児期の過体重自体が将来の生活習慣病リスクとなり得ます。

 例えば、青年期になってから痩せても、小児期に肥満だったことによる2型糖尿病リスクは、一度も肥満にならなかった人と同程度まで下げることはできません。とはいえ、なるべく早期に介入することによって、そのリスクを少しでも低減させることは可能です。

 このことはコペンハーゲンで行われた研究によって証明されています。結論だけ申し上げますと、たとえ7歳の時点で過体重・肥満を認めても、13歳までに体重を適正化すれば、将来の2型糖尿病発症リスクは、肥満の期間がなかった人と同等になります。また13歳に至るまで過体重であっても、成人初期までに適正化されれば、将来の2型糖尿病発症リスクは、肥満の期間がなかった人と同等とまではなりませんが、大きく低減できます。1)

 このように、小児肥満をできるだけ早く改善することで、将来、2型糖尿病で苦しむお子さんを減らすことができるのです。

 ◇お子さんの健康も考えたキャンペーン利用を

 当たり前ですが、子供は基本的には親が決めた食事を取ることになります。子供の健康は親にかかっていると言っても過言ではありません。外食が増える分、家で食べる食事をヘルシーにしてバランスを取るなどの工夫をしながら、「Go To イート」を楽しんでいただけたらと思います。(了)
1)Change in Overweight from Childhood to Early Adulthood and Risk of Type 2 Diabetes

渡邉昂汰氏

渡邉昂汰氏

 ◇渡邉 昂汰(わたなべ・こーた)氏
 初期研修医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている。将来は地域医療に従事する予定。

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