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前立腺がんは男性がかかるがんの第1位だが、早期に発見、治療すれば治癒も期待できる。見逃さないための注意点などについて、大阪大学大学院医学系研究科(大阪府吹田市)泌尿器科学の野々村祝夫教授に話を聞いた。
前立腺がんが進行すると出る症状の例
◇症状を見逃さない
前立腺は男性特有の臓器で、ぼうこうのすぐ下に存在する。前立腺がんは50代以降、加齢に伴って増える。近年は患者数が増え続け、2015年以降は日本の男性で最も多いがんになった。
進行が比較的ゆっくりで初期は症状がほとんどないが、進むと残尿感、排尿障害(尿が出にくい)、頻尿、血尿などが表れる。また、前立腺がんが骨に転移すると、背中や腰の痛みが出ることがある。
「これらの症状を見逃さないことが重要です。加齢のせいだろうと軽視し、我慢するうちに発見が遅れてしまうことも少なくありません。症状があれば、我慢せずに医療機関を早く受診してください」
◇定期的な検査を
早期発見のために重要なのが、前立腺から分泌されるタンパク質を測定する「PSA検査」だ。採血のみで検査でき、前立腺がんの疑いを拾い出す検査として有用性は高い。
「PSA検査は自治体の検診や人間ドックのオプションで気軽に受けられます。発症リスクの高まる50歳を過ぎたら、定期的に受診することをお勧めします」。PSA検査などの検診で発見された前立腺がんでは、約60%が早期がんの段階で見つかるとの報告がある。
前立腺がんは、「ステージ1」~「ステージ3」の10年生存率が98.5~100%、がんが隣接する臓器に広がり、リンパ節転移や遠隔転移もある「ステージ4」でも約45%と治療予後が良い。近年は腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術やロボット支援手術(ダヴィンチ)、前立腺に放射性物質のカプセルを埋め込む小線源治療など、体への負担が少ない治療も普及している。
「現在は、がんのステージや患者さんの年齢に応じた、さまざまな治療の選択肢があります。40代で前立腺がんが発見され、手術を受けたある患者は男性機能を維持でき、50代の今も元気にされています。手術前に凍結保存した精子を用いた人工授精で子どもも授かりました」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/05/01 05:00)
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