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何の前触れもなく、突然、雷に撃たれたように起きる激しい頭痛を「雷鳴頭痛」と呼ぶ。中でも可逆性脳血管攣縮(れんしゅく)症候群(RCVS)の雷鳴頭痛は、女性に多いなど、いくつかの特徴がある。だいだいクリニック(東京都千代田区)の石井翔院長は「RCVSは命に別条がないケースが大半ですが、必ず詳しい検査が必要です」と話す。
いきむ動作で頭痛が起きやすい
◇いきむ動作で発症
雷鳴頭痛は、くも膜下出血や、首の動脈壁に亀裂が入る動脈解離など、命に関わる病気が原因で起こるケースが多い。ところがRCVSは、救急外来を受診しても、異常が見つからず帰されてしまうケースが大半で、数日から数週間のうちに症状を繰り返すのが特徴だ。
原因は脳の血管が突然収縮すること。20~50代の女性に多く、入浴や排便、性交渉、運動などのいきむ動作時に誘発されやすい。「RCVSの概念が確立されたのが2007年なので、まだ医師にも十分に認知されているとは言えません。そのため、診断されていない人も少なくないと思います」
妊娠や薬剤なども原因に挙げられるが、脳の血管が突然収縮する詳しい理由は分かっていない。というのも、RCVSは発症後、数週間から3カ月程度で血管の収縮が戻り、症状も治ることから、積極的な研究が難しいためだ。
◇再発時も必ず検査を
RCVSの診断は、磁気共鳴画像装置(MRI)と問診により行う。しかし、発症初期には血管の収縮が認められないこともある。また、MRIに写し出される血管の収縮画像を、加齢にともなう動脈硬化と捉えられてしまうケースもあるという。そのため、「頭痛に詳しい脳神経内科や脳神経外科の専門医を受診するようにしてください」。
今のところ有効な薬はないため、症状を誘発させる動作を避け安静にする。例えば、排便時に雷鳴頭痛が起こるなら、下剤を服用していきまないようにするなどし、経過観察をする。片頭痛にRCVSが合併することもあるが、雷鳴頭痛時に片頭痛の薬を服用すると症状を悪化させてしまうので注意が必要だ。
「雷鳴頭痛は脳梗塞やくも膜下出血につながるケースもあるため、最初の診察で異常なしと言われても、再発したらその都度、ためらわずに医療機関を受診してください」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/07/01 05:00)
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