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皮膚が赤く腫れあがり、痛みを伴ったりしたら、蜂窩織炎(ほうかしきえん)かもしれない。蜂窩織炎は、皮膚の傷口などから入った細菌に感染して炎症を起こす病気だ。信州大学医学部付属病院(長野県松本市)皮膚科の木庭幸子准教授は「治療が遅れると命に関わることもあるので、早めに受診を」と注意を促す。
赤く腫れて熱を帯び、痛みを伴うことも
◇重症化で敗血症にも
主な原因菌は黄色ブドウ球菌やレンサ球菌で、皮膚や皮下組織に侵入して炎症を起こす。全身に起こり得る病気だが、下肢(脚)に多く見られるという。症状は、皮膚が赤く腫れて熱を帯び、痛みを伴うこともある。
重症化すると、発熱や悪寒などの全身症状を引き起こす。適切な時期に治療すれば良くなるが、放置すると細菌が関節や骨の中に広がり、化膿(かのう)性関節炎や骨髄炎を発症することもあり、治療が難しくなる。菌が全身に広がる敗血症や菌血症を発症すると、命に危険が及ぶ。
皮膚の表面や毛穴などの細菌は、切り傷や擦り傷だけでなく、注射針を刺した箇所や、目に見えないほどの小さな傷口からでも侵入する。水虫や乾燥肌など皮膚の病変部から侵入することもある。
「体の抵抗力が落ちていると感染症を起こしやすくなります。特に糖尿病の人は水虫に注意が必要です」。糖尿病の合併症による神経障害では水虫の症状に気付きにくく、蜂窩織炎の発症や重症化につながりやすいという。糖尿病の人はうおのめが感染を起こして蜂窩織炎になるケースも。
また、ステロイドなど免疫を抑える薬を服用している場合も注意が必要だ。肥満の人や、下肢の静脈の血流が悪くむくみやすい人、リンパ浮腫がある場合も蜂窩織炎にかかりやすく、繰り返すケースもある。
◇自己判断は禁物
蜂窩織炎は、症状が特徴的なため視診と触診で診断されるケースが多い。症状が重い場合は、血液検査で炎症の程度を調べる。
治療は、軽症なら原因菌の可能性が高い細菌をターゲットにした抗菌薬を内服するのが一般的だ。服薬期間は1~2週間程度だが、まず3日ほど服薬して効果を確かめ、必要に応じて薬を変えたり、期間を延長したりするという。「薬で痛みが軽減しても、自己判断で服薬や受診を中止しないことが大切です」
血液検査で炎症の反応が強い場合や、免疫低下がある人や高齢者、痛みが強くて歩行困難な場合は入院して抗菌薬の点滴を行う。
木庭准教授は「蜂窩織炎を放置すると命に関わる場合があります。下肢に発症した場合は、立ったままの姿勢を避け、足を高くした状態で横になって安静にし、できるだけ早く地域の皮膚科や整形外科、外科などを受診することをお勧めします」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/07/02 05:00)
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