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8週間以上せきが続く状態を慢性咳嗽(がいそう)というが、原因となる疾患の多くはせきぜんそくだ。せきぜんそくは気管支ぜんそくのようにゼイゼイいう喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難はなく、たんを伴わない空ぜきがいつまでも続く。
「適切な治療を受けずにせきが長引く場合、せきぜんそくの約3分の1が気管支ぜんそくに移行するため、注意が必要です」と日本医科大学呼吸ケアクリニック(東京都千代田区)の日野光紀所長は説明する。
しつこい空ぜきが続く
◇ぜんそくとの共通点も
風邪などの感染症が原因のせきは急性咳嗽といい、2~3週間程度で治まる。一方、慢性咳嗽のほとんどは感染症以外が原因。せきぜんそくは空気の通り道である気道が炎症を起こしている状態だ。慢性咳嗽の原因はせきぜんそくの他に、典型的気管支ぜんそく、アトピー咳嗽、副鼻腔(びくう)気管支症候群などがある。
せきぜんそくは50歳代に多く、アレルギーの関与が考えられるなど、気管支ぜんそくとの共通点は少なくない。
「せきぜんそくが気管支ぜんそくと決定的に違うのは、ほとんどの場合は聴診で喘鳴が聞こえないことです。気管支ぜんそくは、気管支が狭くなって空気の流れが制限される気流閉塞を起こすため、喘鳴が聞こえるのが一般的です。しかし、せきぜんそくは気管支の炎症はあっても、気流閉塞(へいそく)まで起こしているかどうかが明確ではありません」
◇風邪薬では治らない
同クリニックには、他の医療機関で風邪薬を処方されたものの2~3週間経過してもせきが止まらずに来院するケースが多いという。「検査で気流閉塞は無くても気道内のアレルギー反応があると分かれば、せきぜんそくの治療を始めますが、中には気流閉塞が始まり、気管支ぜんそくの前段階にあるケースもあります」
治療法は気管支ぜんそくとほぼ同じ。気道の炎症を抑えるために吸入ステロイド薬を使い、気管支拡張薬で気管支を広げる。長引くせきによる炎症で気管支の壁が硬くなり、過敏になっているためだ。「気管支ぜんそくと違い、せきぜんそくは1~2カ月でせきが収まり、気流閉塞が全く見られなければ一度は薬をやめてみることが可能かと思います」
せきぜんそくのきっかけは個人差がある。かぜ、気温や気圧の変化、過労と精神的ストレスなどさまざまな外因が考えられる。「小児ぜんそくの病歴がある人や、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎がある人はせきが長引きやすい傾向があります」と日野所長は注意を促している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/11/06 05:00)
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