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好酸球性副鼻腔(びくう)炎は国が指定する難病の一つだ。鼻の中の空間(鼻腔)周辺にある空洞(副鼻腔)に、多数のキノコのようなポリープ(鼻茸=はなたけ)ができて鼻詰まりなどの症状が表れる。
細菌やウイルスに感染して起こる副鼻腔炎とは異なる、難治性の病気だ。福井大学医学部(福井県永平寺町)耳鼻咽喉科・頭頸部外科学の藤枝重治教授に最新情報を聞いた。
好酸球性副鼻腔炎の特定医療費受給者証所持者数の推移
◇ぜんそく患者らに多い
好酸球は白血球の一種で、寄生虫などの異物から体を守る働きがあり、アレルギーとも深い関連があるといわれる。好酸球性副鼻腔炎は好酸球が副鼻腔の粘膜に過剰に集まって炎症を起こす。主な症状は、粘り気のある鼻汁、鼻詰まり、嗅覚障害など。原因は不明だが、気管支ぜんそくのある人や、アスピリンなどの薬に過敏に反応する人などで発症しやすいという。
好酸球性副鼻腔炎の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は年々増えており、2021年は1万7525人だった。藤枝教授は「増加の原因は不明ですが、食事を中心にしたライフスタイルの変化が関係している可能性もあります」と話す。
診断は、内視鏡やCTなどで鼻茸の有無を確認し、血液検査で血中の好酸球数などをスコア化して行われる。
治療は、黄色っぽい鼻汁が出ていれば抗菌薬を内服する。鼻汁が透明になっても症状が改善しなければステロイドの内服や、アトピー性皮膚炎などの治療にも使われる注射(デュピルマブ)を一定期間続ける。ただ、ステロイドもデュピルマブも投与を中止すると再発しやすい。その場合は内視鏡を使って鼻茸を取るが、再発するケースが少なくないという。
◇鼻腔内細菌が影響
そうした中、藤枝教授らの研究グループは、好酸球性副鼻腔炎患者の鼻腔内では一般的な副鼻腔炎患者と比べて、歯周病などの原因菌とされるフソバクテリウム属ヌクレアタムが少ないことを突き止めた。さらに、この細菌が産生するリポ多糖という物質が少ないことも分かったという。リポ多糖は体の免疫細胞とくっついて体を保護する働きがあると考えられている。
不明な点も多く残されているものの、今回の研究成果は今後、発症メカニズムの解明や治療への応用につながる可能性が期待できるという。
藤枝教授は「もともと鼻腔内にはさまざまな細菌がすみ着いていますが、そのバランスが崩れると好酸球性副鼻腔炎を発症しやすくなる可能性があります」と指摘。「風邪などの感染症によって悪化する場合もあります。気になる症状があれば耳鼻咽喉科に受診を」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/03/30 05:00)
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