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2月最終日は「世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day=RDD)だ。希少疾患に苦しむ人たちは世界中にいるが、認知度は低く、治療薬や診断方法の研究・開発がほとんど進んでいない例もあるという。啓発と患者の生活の質向上を目指すRDDに向けてさまざまな取り組みが行われた。2月に東京都内で開かれたシンポジウムでは、専門家が最新の検査法などを紹介するとともに、患者家族会の代表が社会の理解促進を訴えた。
「世界希少・難治性疾患の日」のイベントの一環として青・ピンク・緑にライトアップされた東京タワー=2021年2月28日
◇遺伝学的検査で新時代に
希少疾患は国内で約5万人未満とされる。そのうち約8割を遺伝性疾患が占める。ミトコンドリア病は5000人に1人、ファブリー病は7000人に1人。一つ一つの患者数は少ないため希少疾患といわれるが、世界で1万種類以上存在すると考えられており、総数は人口の約5%に上るという。順天堂大学大学院の村山圭教授は「専門医の不足が診断の遅れにつながる」と課題を指摘する。
例えば、遺伝性血管性浮腫という疾患の場合、診断までにかかる平均年数は米国で8.3年、欧州8.5年、日本では13.8年となっている。ミトコンドリア病はミトコンドリアの働きが低下することで起きる病気の総称だ。治療のためには早めに原因となる遺伝子を特定する必要があるが、ミトコンドリア病の原因遺伝子は450以上ある。有効な方法が遺伝学的検査だ。
遺伝学的検査が保険適用になり、2023年11月から順天堂大学でこの検査が開始された。村山教授は「ミトコンドリア病診断の新しい時代が始まった」と評価する。
順天堂大学大学院の村山圭教授
希少遺伝性疾患に関し、すべての新生児を対象とする「拡大新生児スクリーニング(新生児オプショナルスクリーニング)」が実施されている。村山教授は「早期発見・治療にとって極めて効果的な方法だ」と強調する。
ある遺伝子の欠損を原因とするファブリー病は、四肢疼痛(とうつう)や発汗障害に加え、心不全や腎不全、脳血管障害など重篤な症状を呈する。患者は幼児期後半から学童期後半にかけて発症しても、診断は20年近く遅れる傾向にある。
スクリーニングで重要な点は、新生児の遺伝子に異常が見つかると家系も検索する(調べる)ことだ。生後1カ月の男児の母親は35歳で、頭痛やめまいがしたり、発熱時に手足の末端が痛んだりしていた。息子のスクリーニング検査を契機にファブリー病と診断された。
新生児マススクリーニングの対象は20疾患だが、他にも必要とする疾患がある。村山教授は「治療法の発展に伴い、スクリーニングの対象疾患は増加傾向にある」とみている。
「ひだまりたんぽぽ」の柏木明子代表
◇「頭の中が真っ白に」
希少疾患では早期発見・治療がより求められる。しかし、希少であることから医師の間でもあまり知られておらず、診断がつきにくい。遺伝性疾患である有機酸・脂肪酸代謝異常症の患者家族会「ひだまりたんぽぽ」の柏木明子代表は、そんな状況を改善しようと奮闘してきた。先天性代謝異常症は生まれつき特定の酵素が正常に働かないために代謝の流れが止まり、体に有害な物がたまったり、必要な物が欠乏したりすることでさまざまな障害を来す。柏木代表は自身の子どもの例を紹介した。
子どもは産婦人科クリニックで出産。生後30時間で近隣の救命救急センターに移送され、40時間後に県立こども医療センターに移った。5日目に先天性代謝異常症と診断され、医師から「1歳の誕生日を迎えることは難しいだろう」と告げられた。
柏木代表は「頭の中が真っ白になった」と振り返り、「大きな挑戦」をしたと言う。当時、国内では成功例がなかったメチルマロン酸血症の生体肝移植に望みを懸けた。手術はうまくいき、8カ月で退院した。「子どもは『社会の財産』と教えてもらった入院生活だった」と言う。
柏木代表ら関係者による行政への働きかけによって早期診断技術「タンデムマス法(検査)」がすべての自治体で導入された。早期発見は朗報だが、家族の心の傷は残る。
「出産の喜びもつかの間、こんなに元気なのに、まれな命に関わる病気があるなんて」「すやすやと寝ている子どもを何度も起こし、生きているかどうかを確認してしまう」
さらに、幼少期には受け入れてくれる保育所や幼稚園がなかなか見つからない。成人期には任意保険に加入できなかったり、職場の人間や友人らに理解されなかったりする。柏木代表はさらなる医療環境と社会保険の充実とともに、社会の理解促進を訴えた。
(2024/02/27 05:00)
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