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ネックレスやピアスなどの金属製装飾品に繰り返しかぶれる。歯科治療をきっかけに口腔(こうくう)粘膜や舌が白く変色し、手足に湿疹ができたり、全身がかゆくなったりする。こんな症状があれば、金属アレルギーの疑いがある。
藤田医科大学ばんたね病院(名古屋市中川区)総合アレルギー科の矢上晶子教授は「金属製医療材料を使用する治療で、金属アレルギーが問題となる患者さんは後を絶ちません」と話す。
アレルギー性接触皮膚炎の原因となった主な金属製品
◇接触皮膚炎と全身型
体には、細菌やウイルスなどが体内に入ると、異物とみなして攻撃し排除する「免疫」という仕組みがある。免疫反応で自分の体を傷つけてしまうことをアレルギー反応という。
金属アレルギーは、金属が皮膚や口腔粘膜に接触することで、汗や唾液中に溶け出した金属イオンが体のタンパク質と結合した物を免疫が異物とみなすことで起こる。「金属との接触後、症状はすぐには表れず、遅延型アレルギーとされています」
金属アレルギーには2種類ある。「金属が直接触れた部位(局所)に炎症やかゆみなどが起こるアレルギー性接触皮膚炎と、食品や金属製医療材料などに含まれる金属が体内に吸収されて、局所から離れた部位にかゆみや湿疹が起こる全身型金属アレルギーです」
皮膚や粘膜、腸管や気道から体内に吸収された金属は、大半が尿や便、汗、乳汁、涙の中に排出される。「全身型金属アレルギーでは、汗をかきやすい手のひらに小さな水疱(すいほう)ができたり、虫刺されのような痛みを伴う湿疹ができたりします」
◇パッチテストで診断
金属アレルギーの診断には、パッチテストを用いる。「金属にかぶれたことがあり、歯科治療などに伴いかゆみや湿疹などが出た場合は皮膚科専門医への受診を勧めます。その上で必要に応じて、パッチテストを行う医療機関への紹介を受けてください」
パッチテストとは、金属成分の試薬が付いたシールを背部や上腕部に48時間貼付し、はがした後に試薬貼付部が反応していれば陽性とするもの。「金属アレルギーの診断結果に基づいて、患者さんごとに歯科治療などへの対応を検討します」
パッチテストで陽性を示す患者が最も多い金属はニッケルと金で、次いでコバルト、クロムなども目立つ。国内には、ニッケル配合量の規制基準がなく、ニッケル含有量の多い装飾品などが流通している。矢上教授は「ピアスや腕時計など金属でかぶれたことがあれば、できる限り皮膚に直接金属が触れないようにしましょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/06/18 05:00)
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