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ペットを飼えないなど人と動物の共生を阻む壁になっているのが、犬猫などの動物アレルギー。そんなハードルを越えられそうな成果を出したのが、東京大学大学院農学生命科学研究科(東京都文京区)の間陽子特任教授だ。犬猫のアレルゲン(アレルギーの原因物質)を光触媒技術で効率よく分解できることを明らかにした研究について聞いた。
光触媒による犬の主要アレルゲンの割合の変化。時間とともに分解された
◇新型コロナを不活化
世界人口の10~20%が犬や猫にアレルギーを持つと推定されている。犬猫の毛、ふけ、唾液、尿などに含まれるアレルゲンは室内の敷物などに付着したり、空中に飛散したりする。アレルギーを持つ人が浮遊するアレルゲンを吸い込んだり、アレルゲンの付いた手を通して口や鼻の粘膜に入ったりすると、ぜんそく、鼻炎、皮疹などの症状が起きる。
「家の掃除やペットのシャンプーは、アレルゲンを減らすために有効ですが、完全除去は難しいです」。間教授は効率的なアレルゲン除去方法として、光触媒技術を利用できないかと考えた。
光触媒は、光を当てると強い酸化力を示し、接触するウイルス、細菌などの有害物質を分解する。ヒトやペットに害を及ぼすことはない。間教授らはこれまでに、代表的な光触媒である「酸化チタン」を用い、新型コロナウイルスの不活化などの効果を確認してきた。
◇抗体との結合性が消失
今回の研究では、酸化チタンで表面を覆ったガラスシートの上に犬、猫のふけ抽出液を滴下し、無害の光を当てた。すると、犬の主要アレルゲンの「Can f1」は時間に伴って分解され、24時間後には98%分解された。猫の主要アレルゲン「Fel d1」は94%分解された。
次にそのアレルゲン性が消失しているかを検証するため、光触媒で処理した犬猫のアレルゲンと、アレルギーを引き起こすヒトigEとの結合を検出。その結果、結合性は「Can f1」「Fel d1」のいずれも時間とともに低下し、24時間後には消失した。
間教授は、この成果を実用化するために、光触媒フィルターを空気清浄機に組み込めばよいのではないかと想定している。「空気清浄機に吸い込まれ、フィルターに付着したアレルゲンを分解し、その活性を喪失させます。フィルター交換時に付着したアレルゲンを吸入してアレルギー症状を起こす心配はありません」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/10/10 05:00)
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