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「今は、飼い犬や飼い猫の屋内飼育が当たり前になっている。そのペットが散歩などの際に屋外で人獣共通感染症に感染すると、家庭内に持ち込まれて飼い主や同居家族に感染が拡大する可能性が高くなる。飼い主側のためにも、ペットへの対策は重要だ」
日本獣医生命科学大学などで獣医師や動物看護の教育に関わる佐伯英治・獣医学博士は、このような家庭での人獣共通感染症対策の必要性を強調する。佐伯氏によれば、都市部でも公園の生け垣や河原などに、「ベクター(媒介動物)」と呼ばれ感染症を媒介するマダニやノミが繁殖している場所が確認されている、と言う。
こうした場所で吸血のためにベクターがペットに付着し、このペットがリビングや寝室など人と共有する場所にベクターを持ち込む。「これが人に付着し血を吸った場合、ウイルスや細菌が人の体内に入って感染を拡大させてしまう可能性は否定できない」と佐伯博士は強調する。「感染を防ぐためにはまずペットへの予防、さらにペットを屋内に入れる際には、体をよくブラッシングして付着しているベクターを排除することが一番有効だ」と話す。
ペットが体の特定の部分だけをかき続けたり、壁に体をこすり続けたりする場合は要注意だ。ペットがこんな反応を示したときは、どうすればよいのか。飼い主側が人獣共通感染症やそのベクターに関して、一定の知識を持っていた方がよい。例えば、ペット用の医薬品も手掛けるバイエル薬品は、さまざまな啓発用資料を作り、獣医師などを通して情報を提供しているので参考になるだろう。
同社動物用薬品事業部の担当者は「人獣共通感染症に関する飼い主の関心や知識は非常に詳しいグループと、ほとんど関心がないグループに二分されている」と指摘する。このため、人の血を吸い、膨れ上がったマダニをはれものの腫瘤(しゅりゅう) やいぼと間違えて放置している飼い主も少なくないという。
ベクターの駆除薬はホームセンターやペットショップでも購入できるが、ペットの年齢や生活環境に応じて有効な薬は異なる。獣医師の指導に基づいて使用した方が効果的だ。さらに、薬自体も病院で処方される動物用医薬品とは効果に差が生じてしまうことが少なくない、と言う。
(2018/06/17 17:25)
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