2019/02/05 06:00
「患者のプロ」からのメッセージ
がん手術6回、定年まで現役
医療現場は多種多様な医療スタッフに支えられている。医師や看護師はもちろん、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師など国家資格を要するものだけでも、その職種は20以上に上る。こうした多様なスタッフが連携・補完し合い、専門性を生かして医療を提供する「チーム医療」は重要性が唱えられて久しく、その実践は医療機関の内部から地域へと近年広がりつつある。特に、高齢化の進展とともに整備が急がれている在宅医療の現場では、一つの施設が保有する医療資源が限られており、地域内の他施設やさまざまなスタッフとの連携も重要になっている。
実際にどのようなチーム医療が行われているのか。在宅医療を担う診療所で薬剤師として働く、桜新町アーバンクリニック(東京都世田谷区)の大須賀悠子さんに現場の実態を聞いた。
◇「対物業務から対人業務」へ
--大須賀さんは現在、在宅支援診療所(在支診)で働いていらっしゃいます。在支診とはどのような医療機関でしょうか。
実は、私のように在支診で働いている薬剤師は非常に珍しいケースです。診療所で働いている薬剤師は全体のたった2%なので、その中で在宅医療を提供している診療所となるとさらに少ないのではないでしょうか。
--確かに薬剤師のお仕事というと、保険薬局(医師の処方箋に基づき、薬を提供している薬局)で処方された医薬品を提供する調剤業務をイメージされる方が多いのではないかと思います。
大須賀 一昔前は、保険薬局、医療機関を問わず、調剤業務が薬剤師の主な業務でした。しかし、近年は「対物業務から対人業務」への転換が求められています。実際に、診療報酬でも薬剤中心の業務(対物業務)は点数が減点され、薬に関わる情報の一元管理など患者中心の業務(対人業務)の点数が加点されるといった経済的な誘導もされています。
◇地域に出る薬剤師
国は団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向けて、医療提供体制の再構築を推進しています。その中で、これからの在宅医療に求められていることは、「入院診療の在宅化」「在宅みとりの増加」です。つまり、これまで入院で診ていたような患者さんも在宅医療で診ることが求められています。
そうなると、在宅で使う薬剤も、これまで以上に医療用麻薬や特殊な薬剤が増えることが想定されます。また、高齢者の薬物治療の安全性確保、認知症の患者さんや老老世帯のお宅ではより一層、服薬支援と残薬管理が求められます。在宅医療体制を充実させるには、在宅医、訪問看護師へのニーズと同様に、薬剤師も地域に出て専門性を生かすことが求められています。
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