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健常者と認知症の中間の段階に当たる「軽度認知障害(MCI)」が注目されている。厚生労働省の推計では、2012年時点で65歳以上の高齢者のうち約462万人が認知症で、認知症予備軍であるMCIも約400万人に上るという。東京大学医学部付属病院(東京都文京区)神経内科の岩田淳講師は「MCIの半数が回復可能なので、本人や家族、医療者が一緒に、早期発見や進行阻止に取り組むことが大切です」と強調する。
▽年に10%以上が認知症に
MCIとは、認知機能の一部に問題があり、本人や家族から物忘れなどの訴えもあるものの、日常生活への影響はほとんどない状態を指す。しかし、MCIを放置しておくと1年間に10~15%の人が認知症に移行するとされている。
▽日常的な努力も効果
磁気共鳴画像装置(MRI)などによる脳検査で、アルツハイマーなど認知症につながる病気が見つかった場合は、経過観察となるのが一般的。その後、進行して認知症と診断された段階で薬物治療が始まる。
ただ、MCIの段階で認知機能の低下に気付けば、日常的な努力を続けることによって認知症への進行を遅らせることはできる。例えば、面倒がらず人付き合いを続けることや、出無精にならず積極的に外へ出掛けるといったことだ。
また、認知症同様、MCIについても進行を止めるための薬の研究開発が盛んに行われており、こうした薬の臨床試験に参加する方法もある。岩田講師は「試験で有効な新薬に出合える可能性もありますし、日常的な努力でも認知症の進行を5~10%遅らせる効果があるとされています。定期的に病院で診断を受けることも、症状の悪化防止につながるはずです」としている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/11/09 06:00)
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