治療・予防

ぜんそく患者は警戒を
風邪、インフルで症状悪化

病状の把握には定期的な呼吸機能検査も欠かせない

 免疫は侵入した細菌やウイルスから自分の体を守るためのメカニズムだが、過剰に反応されてしまうと、関節リウマチやスギ花粉によるアレルギー性鼻炎などさまざまな病気を引き起こす。国内に約450万人の患者がいると推定されている気管支ぜんそくもその一つだ。近年は治療方針や治療法の改善で、激しい発作を繰り返し起こす患者の比率や発作による死者数は減少しているが、免疫活動を抑えるステロイド剤の内服を続ける重症患者も一定数残っている。秋から冬にかけては感冒(風邪)やインフルエンザの感染をきっかけに病状が悪化したり、肺炎などを誘発したりする患者が増えるので警戒が必要だ。

 ◇治療は4段階で

 治療の指針となる日本アレルギー学会の「喘息(ぜんそく)予防・管理ガイドライン」では、副作用の少ない吸入ステロイド剤を中心に複数の薬を組み合わせて治療の進めるとしている。治療は症状の軽い順に「ステップ1」から「ステップ4」に分類。実際の診療では、これに発作の頻度や日常生活への支障が生じている度合いに応じてぜんそくの重症度を、ときどき軽い症状がでるだけの「軽症間欠型」から複数の薬を使っていても発作を繰り返す「最重症持続型」までの5段階に分類している。これに治療ステップを合わせ、患者の状態を20段階に分類している。

相良博典昭和大学病院呼吸器・アレルギー内科教授

 昭和大学病院呼吸器・アレルギー科の相良博典教授は「例えば、ステップ4とされる治療を受けているのに症状が毎日生じていれば、『中等症持続型相当』や日常生活が制限されている『重症持続型』に分類される。このような状態では患者は定期的に専門医の受診を受けるとともに、発作に備えて専用の発作止めの吸入剤を常に携帯してもらうように指導している」と話す。

 ◇推定より多い重症患者

 製薬会社「アストラゼネカ社」がぜんそくの専門医を対象に2017年末に実施したアンケート調査では、なかなか症状が改善しない患者も少なくない、という結果が出た。この調査によると、ぜんそくの専門医を含む医師の診察を定期的に受け続け、ステップ4の治療を受けている患者でも、4割が発作などにより緊急受診や入院などを1年に1回以上経験している、という。

 「この調査からは、これまで全体の5~10%とみられていた重症患者の数が、実際にはより多い可能性がある。つまり、患者は自分の症状や治療効果について医師に対し、より軽症として報告している可能性が高い」と相良教授は指摘する。その上で、患者の病状についてより詳しく聞き取り、ステージを適切に判定していく必要がある、と分析している。

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