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消防庁の調べによると、救急車の利用の約半数は軽症だとされています。これらは、救急車が必要なく自力で受診が可能な人たちです。実際、救急外来で勤務していると、「風邪をひいた」「手をけがした」といった、ごく軽い症状で救急車を利用する人があまりに多い、という事実を目の当たりにします。救急車を便利なタクシー代わりに利用する方も大勢います。本当に必要な人のところに救急車の到着が遅れる原因となるため、救急車の適正利用は非常に大切です。
では、どんな症状なら救急車を呼ぶべきなのでしょうか?
救急車を呼ぶかどうか迷った時、何を根拠に救急要請するかを判断すればいいのでしょうか?今回は、救急車の利用にまつわる、知っておくべき知識を紹介します。
◇救急車を呼ぶべき症状
救急車を呼ぶべき症状とは?
急に何らかの症状が出てつらい時に、救急車を呼ぶべきかどうかを悩む心の余裕は大抵ありません。よって普段から、「どういう症状なら救急車を呼ぶべきか」についてある程度知っておくことが大切です。また、「自分ならタクシーなどを使って自力で病院に行く」という方でも、他人が何らかの症状で苦しんでいる時に、「救急車を呼ぶべきでない」という判断をその場ですることは非常に困難です。
そこでお勧めなのが、消防庁が作成している「救急車利用リーフレット」を読んでおくことです。大人と15歳以下の子どもに分けて身体の部位別に症状が列記されており、それに当てはまる場合は救急車を呼べばいい、という判断が簡単にできるようになっています。イラスト付きで読みやすく、誰にでも分かりやすく書かれていますので、インターネットでダウンロードし、日頃からチェックしておくのがお勧めです。
◇専用のコール方法
救急車を呼ぶかどうか悩んだ時は、市町村の「救急安心センター」(相談窓口)に相談する手があります。番号は「#7119」で、詳細は各市町村のホームページでも確認できます。「近くの救急病院がどこにあるか」や「応急手当てはどうすれば良いか」といった相談をすることもできます。原則24時間365日体制で、看護師などの相談員が相談にのってくれます。
また、子どもの症状で救急車を呼ぶべきか悩んだ時は、小児救急専用の電話相談窓口「こども医療電話相談」が利用できます。こちらの番号は「#8000」です。小児救急の電話相談は、地域によって利用可能な時間帯が異なります。事前に厚労省のホームページで確認しておきましょう。
「救急車を呼ぶべき症状」に当てはまるような、明らかに緊急性の高い場合を除き、迷った場合はこうした専用のコールを利用するのも良い方法でしょう。慌てている時に番号を調べる余裕はありませんので、普段から携帯電話などに入れておくのがお勧めです。
◇専用アプリを利用
意外に知られていませんが、救急車を呼ぶべきかどうか悩んだ時に簡単に使えるアプリ「全国版救急受診アプリ(Q助)」があります。消防庁が作成したもので、症状を入力するだけで救急車を呼ぶべきかを判断することができます。スマホにこうした便利なツールを入れておくと、いざという時に安心です。また、スマホをお持ちでない方はWeb版を利用することも可能です。困った時に備えて、普段から使い方を頭に入れておくと良いでしょう。
もちろん、こうしたツールを使用する余裕がないほど症状が強い時は、迷わず救急車を呼ぶべきです。
救急車は、本当に必要な人が必要な時に使えるよう適切に利用することが大切です。日頃から、救急車に関する情報を整理し、頭に入れておくことをお勧めします。
(参考文献)総務庁消防庁「救急救助の現況」
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