治療・予防 2024/12/27 05:00
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家庭菜園や山菜採りを楽しむ人は少なくない。しかし、有毒な植物を食用と間違えて食べてしまい、食中毒を起こす事故が毎年のように繰り返されている。国立医薬品食品衛生研究所(川崎市)安全情報部第三室の登田美桜室長に話を聞いた。
食用と観賞用は植える場所を分けて
▽紛らわしい見た目
植物の中には、見た目が食用植物とそっくりだが、間違えて食べると食中毒を引き起こすものがある。登田室長は「高齢者の被害が目立ち、草木が芽吹く春に多くなります」と説明する。
白や黄色のかわいらしい花を咲かせるスイセンだが、その葉とニラの葉はよく似ており、成長期である冬から春先にかけて間違えやすくなる。2007年からの10年間でスイセンによる食中毒は44件に上り、有毒植物の中では最多だという。
バイケイソウの新芽は山菜として好まれるオオバギボウシやギョウジャニンニクの新芽とよく似ている。ドクウツギやドクゼリと並ぶ日本三大毒草の一つトリカブトも、同じ時期に同じような場所に生える食用野草のニリンソウやモミジガサの若葉と間違われやすい。
最近、食中毒が目立つのがイヌサフランだ。育てやすいため園芸植物として人気だが、葉がギョウジャニンニクとよく似ている。球根をジャガイモやタマネギと間違えることもある。
見た目がよく似た植物を見分けるのは難しい。登田室長は「食用植物といったん思い込むと、味や香りがいつもと違っていても有毒植物だと気付かないことがあります。食用と観賞用の植物は分けて植えることをお勧めします」と呼び掛ける。
▽異変あればすぐ受診
有毒植物による食中毒の症状は、吐き気や嘔吐(おうと)、下痢など消化器症状を中心としてさまざまだ。重症化すると死亡する可能性もある。誤食後、数十分から1時間程度で症状が表れることが多いが、数時間後というケースもある。
スイセンを誤食すると消化器症状が起こる。バイケイソウはそれに加え心拍が遅くなる徐脈や血圧低下が表れる。トリカブトでは、食後10~20分で口や手足にしびれが生じる。イヌサフランに含まれるコルヒチンという成分は、消化器症状から始まって、重症化すると全身の臓器に障害が広がるという。
「味がおかしいと思ったら、食べるのをやめること。体に異変を感じたらすぐ医療機関を受診してほしい」と登田室長。さらに、「確実に食用と判断できない植物は絶対食べてはいけません。そして何より、食べられる植物によく似た有毒植物があることを知っておくことが大切です」と強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/01/11 06:00)
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