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急速な高齢化により、患者数が増加している高齢者のてんかん。てんかんに特徴的なけいれん発作がなく、突然ボーっとした様子になり、問い掛けても反応がなくなるといった症状のため、認知症と間違われやすい。TMGあさか医療センター(埼玉県朝霞市)脳卒中・てんかんセンターの久保田有一センター長は「高齢者のてんかんは正しく診断されれば、治療で症状を抑えられます。しかし、疾患の認知度が低く、病気であることに気付かないまま、適切な治療を受けずにいる人が多いのが現状です。社会全体が病気に対する理解を深める必要があります」と訴える。
高齢者てんかんの特徴的な症状
▽発見が難しい病気
てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの発作を繰り返す病気だ。子どもの病気というイメージが強いが、成人でも発症し、特に老年期では発症率が高くなる。人口100人当たり1~2人が発症し、超高齢社会を迎えた現在、現在、患者の急増が見込まれている。
高齢者てんかんには、脳卒中や頭部外傷など脳の損傷が原因で起こるものと、加齢に伴う脳の老化により発症するものがある。問題となるのは後者だ。「脳の老化によるてんかんは、磁気共鳴画像装置(MRI)などで検査をしても脳に異常が見つかりません。そのため発見が難しく、病気が見逃されやすい」と久保田センター長。
また、突然意識をなくして、激しいけいれんを起こす子どものてんかん発作と異なり、けいれんを伴わない目立たない発作が特徴だ。意識障害、ボーっとする、不注意、もうろう、無反応、奇異な行動など症状が多岐にわたり、認知症との鑑別が難しいとされる。
久保田センター長は「普段は何の支障もなく仕事をこなしている人が、突然意識を失って動作が停止し、数十秒か数分たつと何事もなかったように動き始めることもあります」と説明する。
▽重大事故の危険も
車の運転中や火を使う調理中などに意識が消失すると、重大な事故につながる恐れもある。患者自身は発作を自覚できないため、家族や介護者などの観察が重要になる。専門の施設で脳波検査により正しく診断されれば、大抵の場合、抗てんかん薬で発作は治まる。
久保田センター長は「発作が治まれば、患者さんは普通の生活を取り戻すことができます。ただし、適切な治療を受けずにいると日常生活に支障や危険が伴います。高齢者だからとすぐに認知症に結び付けず、高齢者てんかんの可能性もあることを認識してください」と強調する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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