女性アスリート健康支援委員会 五輪の扉開いた心技体の成長

子育てと両立、コーチとして東京五輪へ
「日本代表に最高の成果を」―福見友子さん

 ◇山あり谷ありの人生と探究心糧に

 大学4年の時に遠征したユニバーシアード・バンコク大会に出場した福見友子さん(前列中央)と仲間の選手たち。金メダルを取った思い出の大会の一つ(本人提供)
 現役時代の「山あり谷あり」だった柔道家としての経験はもちろん、コーチの仕事にも生きている。唯一の大けがだった2008年のフランス国際での右足骨折に学んだことの一つは、対戦相手と組むときの、けが予防も考えた体の使い方だ。

 「指導する立場になって、もっと選手にアドバイスできるよう、もう少しけがをしておけばよかったかなと思います」。冗談交じりに話す言葉には、現役時代と変わらぬ探究心がのぞく。

 日ごろの体のケアの大切さも骨折の時に実感した。「治療していただく人やトレーナーに頼るのではなく、自分自身でどうけがと向き合って、調整していけばいいのかを考えたことは、今の指導にも生きている。体を動かせない分、頭を使って、対戦相手の対策を必死に考えたことも、とても勉強になりました」

 ◇「ロンドンの経験」も生かして

 現役引退後も、育児とコーチの仕事を両立させ、柔道家としての人生を歩み続けている。JR東日本の柔道場「竢成館(しせいかん)」で
 オリンピックの舞台に立った経験も、本当に貴重なものだと感じている。「普通の大会と違い、経験している、していないの差がすごく大きく出るな、ということは、指導者になって分かります」

 全日本で指導するのは、軽量級の48キロ級と52キロ級を中心とした後輩の選手たち。目標は、2020年の東京五輪・パラリンピックでの日本チームの成功だ。母国で迎える五輪では、個人種目としての男子、女子の階級別の試合とともに、男女混合団体戦が新種目として初めて実施される。

 「東京五輪を集大成として、取り組んできたことを出し切り、成果を出したい。畳の上に立った選手が、最高のパフォーマンスができるよう、サポートするのが目標です」

 指導者としても精進しながら、福見さんは柔の道を歩み続ける。(了)


◇福見さんプロフィルなど
◇「女王」破る16歳の快挙が重圧に  無月経も経験、「減量には知識必要」(五輪の扉開いた心技体の成長・上)

◇己と向き合い27歳で五輪へ  練習の質追求、心身コントロール(五輪の扉開いた心技体の成長・中)




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