「医」の最前線 高知大医学部「家庭医道場」

〔第3回〕地域医療って何?
高知大医学部「家庭医道場」

 学問や知識ではなく、肌で感じながら地域医療を学ぶため、高知大学医学部の家庭医療学講座(阿波谷敏英教授)が2007年から年2回主催している「家庭医道場」。今回は、医学科と看護学科の学生40人が高知県安芸郡馬路村を1泊2日で訪れ、地域の暮らしや医療について学んだ。
 馬路村は高知大学から車で2時間近くかかる小さな村。「地域医療というと、へき地医療のことだと思いがちだが、人々の暮らしがある地域はどこにでもある。村の人々の生活に触れることで、地域医療とは何かをよく考えてほしい」と阿波谷教授は話す。
 学生たちが2日間の体験で感じた地域医療とは?

グループワークで地域医療を考える

 ◇地域医療で大切なこと

 「地域でどんな医療が求められているのかを知るためには、まず地域のことを知らなければいけない」という考えに基づき、家庭医道場の初日は地域の人々の生活に触れ、馬路村という地域について学んだ。

 それを踏まえて2日目のグループワークは、40人が5人ずつのグループに分かれて、地域医療についてのイメージを紙に書いていく作業から始まった。各グループをまわってみると、「コミュニケーション力」「地域のつながり」「切り取らない医療」「自学自習」「チーム医療」「予防」「支えあい」「低倍率のレンズ」など、2日間のプログラムの中で地域の人々から学んだ言葉を書いた紙がテーブルを埋め尽くした。

 さらに、それらのキーワードを使って自分たちが考えた地域医療のイメージを絵に描いていく。なかなか難しい課題だが、2日目ともなると学生たちのコミュニケーションもスムーズになり、次々とアイデアが湧いてくるようだ。

地域医療についてのイメージを話し合う

 ◇チーム医療の基本が身に付く

 リーダーシップを発揮して意見をまとめていく学生、絵が得意な学生はメンバーの意見を聞きながら、模造紙にペンを走らせる。日本の医療現場では、医師と看護師は上下関係になりがちだが、ここでは医学科、看護学科の垣根はまったく感じられず、看護学科の学生がリードする場面も多くみられた。

 このセッションを指導した高知大学地域看護学講座講師の杉本加代さんは「医学科6年のうち最初の2年は教養課程ですが、4年で卒業して現場に出ていく看護学科の学生は、早くから専門的な内容を勉強するため、少し先に進んだ感じになりますね」と説明する。

 医師をめざす学生と看護師や保健師をめざす学生が共同作業することによって、多職種が連携して一人の患者を診るというチーム医療の基本が自然に身についていくようだ。

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