こちら診察室 タンパク質にまつわる栄養の話
何をどのくらい食べる?
~成人のタンパク質摂取量~ 第2回
図 地球にとって健康な食事(The Planetary Health Diet)出典EAT-Lancet Commission. Food Planet Health.
◇未来のタンパク質源!?
近年、気候の温暖化など地球規模の環境課題に加え、世界人口の増加に食料生産が追い付かない日の到来が懸念されています。こうしたことを背景に、持続可能性の高い食料生産システムの確立を目指して「地球にとって健康な食事」を取ることが世界的に注目されつつあります。1回当たりの食事の食べ方を図に示しましたが、半分を野菜と果物から取ります。肉類や乳製品などの動物性食品は全体の1割程度に抑え、残りは全粒穀物、植物性のタンパク質源(豆類や種実類)や植物油となっています。
この食事が実際に日本で実現されるかどうかは今後、多方面から多くの検討をしていかなければなりません。しかし一方では、将来の食料危機を解決する方策として「昆虫食」が注目されています。日本ではイナゴやコオロギを想定しているようですが、低脂肪・高タンパク質、廃棄部分がない、エサが少ない、出荷期間が短い、環境負荷が少ない―などのメリットが多数挙げられています。さて、私たちのタンパク質源が肉や魚ではなく、昆虫となる将来が来るのでしょうか。(了)
今村佳代子(いまむら・かよこ)
管理栄養士・公認スポーツ栄養士。鹿児島純心女子大学・看護栄養学部健康栄養学科准教授。日本女子大学家政学部食物学科卒業。病院勤務を経て同大学大学院修士課程修了。現在は大学で管理栄養士養成に従事する傍ら、高校生・大学生アスリートへ栄養サポートを実施する。Webサイト「アスレシピ(日刊スポーツ新聞社)」に『KAGOSHIMA×食』グループでコラム・レシピを執筆。
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(2023/03/13 05:00)
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