こちら診察室 依存症と向き合う

第5回 深刻化するゲーム依存症
ネット接続、一昔前とは別世界 ~久里浜医療センターの「今」~

依存症からの回復に向けたファームセラピー(本文とは関係ありません)=一般社団法人「グレイス・ロード」提供

 ◇各地で治療キャンプ

 青少年世代ならではの特色のある治療に「治療キャンプ」があります。宿泊施設などを利用して、主に自然の中でアクティビティを実践するほか、依存に対する心理療法などを行うものです。

 2014年から久里浜医療センターが関与して実施している医療分野を中心とした治療キャンプ(主催・青少年教育振興機構)は、中高生を中心に毎回十数人が参加。19年には同様の取り組みが数県で行われました。

 久里浜医療センターは治療キャンプへの協力のほか、11年からインターネットやゲームの依存的使用に関する専門治療を行っています。具体的には、専門デイケアや入院治療、家族会活動を通じた回復支援などです。

 ◇保護者への予防教育

 専門デイケアは主に午前中にスポーツプログラム、昼食をはさんで午後は認知行動療法などに基づいた集団診療が行われています。同センターだけでなく、いくつかの医療機関でインターネットやゲームの依存的使用に関する診療に取り組むところが出てきています。

スマホゲームをプロモーションするモデルでタレントのぺこ(左)、りゅうちぇる【時事】

 他の依存症と同様に予防は極めて重要です。多くの小中学校で予防教育が行われていますが、ゲームは盛んに広告されており、現在の予防教育は十分と言えません。親が楽しんでいるゲームに乳幼児が間接的にでも触れている現状を考えると、保護者らに対する予防教育が望まれます。

 ◇守られる権利

 コンピューターやインターネットなどの技術革新に伴ってゲームはより依存性を増していく傾向にあり、これは今後も変わりないと思われます。

 何の対策も打たずに放置すると、ますますゲーム障害(依存症)が増えていく可能性があります。成人もそうですが、特に将来を担う未成年者は法的に依存物(依存を呈しやすい物質や行為)から守られる権利があります。

 今後、家庭、教育、行政、医療が協力してこの問題に取り組む必要があると思います。(久里浜医療センター精神科医長、ゲーム・アルコール依存担当 中山秀紀)

中山秀紀氏


【用語解説】認知行動療法

依存症者は「依存による問題を認めない」「疾病状態であることを認めない」など、認識のゆがみを抱えているケースがある。こうした認識を自己洞察してもらい、依存から回復する対策を考えていく手法。集団で行ったり、心理師などとマンツーマンで行ったりする。集団の場合は同じ疾病を抱えた人を通じて自己洞察でき、マンツーマンだと他者に気兼ねせずに話せるのが利点となる

中山秀樹(なかやま・ひでき)氏
岩手医科大学医学部、同大学院卒。盛岡市立病院精神科医長などを経て久里浜医療センター勤務。2011年よりネット依存診療に携わる。医学博士。精神科専門医

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