のどの病気 家庭の医学

 額帯鏡に象徴される耳鼻咽喉科医はなぜまとめて、耳と鼻とのどを診るのでしょうか。理由は、耳と鼻とのどはきわめて密接な関係にあるからです。
 たとえば、かぜをひくと鼻とのどに症状が出て、やがて耳にも症状が出ます。耳が痛くて耳鼻咽喉科に行ったのに、鼻やのどを診られるのはなぜでしょうか。その理由は耳鼻咽喉科で扱うすべての器官が1つの空洞で鼻の奥、両耳の間、のどのてっぺん、つまり、顔と頭の中心の上咽頭(じょういんとう)でつながっているからです。したがって、鼻がわるくなると耳が痛くなったり、のどが痛くなったりします。
 このように、耳鼻咽喉系はすべての器官がつながっており、それぞれが密接な関係を保ち、耳・鼻・咽・喉の、どれか一つに障害が出ても、やがてすべてに波及します。声がかれて耳鼻咽喉科に行っても、鼻や耳も診るのはそういう理由です。これらの深い穴の奥を観察・治療するために、耳鼻咽喉科医は額帯鏡と金属製の特殊な器械や綿棒を用いるわけです。

(執筆・監修:独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 臨床研究センター 人工臓器・機器開発研究部長 角田 晃一
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